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日本全体において様々な出来事が起こった2011年。
乙女ゲーム業界でも例外ではなく、類まれなる猛者が現れては消えていった。
特にこの年は、致命的なバグや不具合などがなく、シナリオやキャラ設定といった乙女ゲームであるが故に
クソとなる要素で争われ、歴史に新たな1ページを刻んだといっても過言ではない。
2012年もまた、その1ページに相応しい者達が集まったといえよう。

まず先陣を切り現れたのは1月のこと。
Rejetの『TOKYOヤマノテBOYS SWEET JELLY BEANS』(ヤマノテ)
『ヤマノテ』とは、主人公が年に1度開催される告白大会にプリンセスとなって出場し、9人のイケメンから
様々な告白をされ、台詞やアプローチを見て東京都内No.1の男子高校生を決めるというもの。
本作は2011年に発売された『ヤマノテ』シリーズのオールスターディスクにあたる。
前作は攻略キャラクター9人が3人ずつに分割され発売されていたが、今回は9人全員攻略でき、かつ告白大会の
主催者と本編の真相ルートの核を担うキャラも攻略可能となっていて、計11人と恋愛をすることができる。
そして本作品の謳い文句

「全員と合同デートを行なえる、逆ハーレム状態!?
弾けるほど、新鮮で甘酸っぱい―――。
―――――――今、宝石の様な新しい運命の七日間が幕を開ける!」

にあるように、団体戦でのアピール合戦となっている。
前作とは一味違った、新しい7日間の告白大会にワクワクしたファンも大勢いただろう。
しかし、蓋を開けてみればほとんどのキャラが実質3日間しかシナリオの収録がされていない。
その3日間も全て合同デートで埋まり、デートする際の3×3グループも固定で自由に組み合わせることは不可能。
3日目の夜のデートで明日から始まる個別デートに向けて良い雰囲気になったところで画面が暗転し、
外伝シナリオ開放について書かれたシステム文が表示されて終わってしまう。
恋愛AVGで、メイン攻略キャラクターにも関わらず、恋愛エンディングが用意されていないのだ。
この恋愛エンディングが存在するのは新規キャラクターの2人で、うち1人はメイン9人同様3日間のシナリオしか
存在しない。
しかも3日目途中まではそういった素振りをみせることなく、夜のデートで急接近と恋愛過程も存在しない。
そう、7日間のシナリオが存在するのはたった1人なのだ。
このようなボリュームであるからして、フルコンプも1日かからない上、スキップを使えば1人15分かからずに
攻略できる。
にも関わらずフルプライスで世に送り出したRejetは、よほどの自信あったのだと思う。
「新しい運命の7日間」とはなんだったのか。消えた4日間はどこにいったのか。
全ては闇の中である。

余談だが本作発売後新たにファンディスクが発売されたが、それは2011年に発売されたものの後日談であり、
本作はこれで完結していることになる。

『ヤマノテ』の襲来で盛り上がっていたスレが落ち着いた頃。
5月の暖かな春の日差しの中スレ住人が穏やかに過ごしていたところにその歌声は響き渡った。
ブロッコリーからの刺客『うたの☆プリンスさまっ♪ Debut』(うたプリ)
前作『うたの☆プリンスさまっ♪』ではパートナーを選び卒業オーディションに優勝することが目的であったが、
今作はその1年後から物語は始まる。
卒業オーディションで優勝を果たし、次なる目標の正式デビューを決める為頑張るキャラクター達。
前作同様に物語を進めていけば順調にデビューできるかと思いきや、まるで現実のように甘くはなかった。
前作との大きな違いといえば、個別ルートに入ることによりそのキャラが1番になった前作とは違い、
ルートに入ったキャラが既にデビューを果たしている他のキャラ達にEDを迎えることでようやく追い付く
形となる。
その追いつくまでのシナリオも先輩との格の違いを見せつけられ落ち込んだり、オーディションに落ち続けたり、
決まった仕事が先方の都合でなくなったりと不運が続きなかなかデビュー出来ず、非常に鬱々とした状況が続く。
また苦しい境遇の中でデビューを目指すキャラを叱咤激励するのは主人公の役割だったはずが先輩や元同室の
友人に摩り替わっており、主人公はただそれを傍観するのみ。
主人公のミスからデビューが妨げられるルートもあるが、その尻拭いをするのも先輩である。
恋愛エンディングに辿り着けば「やっぱりお前が居たから頑張れたんだ」とハッピーエンドな終わり方をするが、
シナリオを総合して見てみても、恋愛以外のエンディングのほうが話がまとまっていたり順調だったりするので
「彼らにはむしろ主人公がいないほうがいいのではないか」と思うようになってくる。
その恋愛以外のエンディングというのも攻略キャラと先輩や友人といった男同士のエンディングであり、
こちらのエンディングになれば必然的に主人公は蚊帳の外となり「これは本当に乙女ゲーなのか」と根本的な
部分で悩まされたプレイヤーは少なからずいたことだろう。
その他にも各ルートにまんべんなく存在し「Your Darling?」が「Your Daring?」なっているなどの誤字の多さ、
グラフィックの使い回しなどの手抜き、キャラクターの設定をストーリーの都合で改悪する、音楽や攻略キャラに
対しての主人公の性格・行動の違和感など様々。
そんな彼らもルート外では先輩と仲良く仕事しあっさりデビューを決めるところを見れば、主人公の存在理由を
思って涙がほろりと出るのはある意味必然なのかもしれない。

うたプリの熱気も冷めやらぬ中、6月の梅雨のじめじめと共にそれはやって来た。
アクセーラの『再会~貴方ともう一度~』(再会)
本作はGREEで配信されているソーシャルゲームである。
携帯電話を用いたゲームといえば2010年に大賞に輝いた『天下一★戦国LOVERS DS』や、ノミネートとなった
『大和彼氏』や『湘南★初カレDiary』が記憶に新しい。
ソーシャルゲーム界はいまや無法地帯となっており、様々な作品が入り乱れている。
もちろん乙女ゲームというジャンルも例外ではなく、本作もそのひとつである。
この作品で目を引くところは、攻略対象が1人しかいない上、選択肢が存在しない部分である。
乙女ゲームを含む恋愛シミュレーションゲームとは、プレイヤーの分身である主人公を通じて選択肢や
コマンドで行動を選び、目当てのキャラの好感度を上げていくといったものであるが、そもそも対象が1人しか
いない為なのか選択肢が一切なく、キャラクターが登場しただけで好感度が上がっていく。
往来のソーシャルゲームのように本作もストーリーが章ごとに分かれており、次章へいくには好感度が100%に
なることが条件となっているのだが、ストーリーを読むだけで勝手に好感度が上がる。
主人公が選択肢に従わないという作品は過去にもあったが、そもそも従う選択肢すらない乙女ゲームは珍しい。
だがこれらは序章にすぎず、この作品がクソゲーたる所以は他にある。
本作の紹介文が

「異常な愛情の持ち主である誠二と見合い結婚した主人公は、辛く苦しい夫婦生活から逃れ、偶然再会した
高校の同級生、翔(攻略キャラ)と2人で暮らすようになる。」

というものであり、一見すると昼ドラなどにありがちな逃避行モノだと思うだろう。
しかしそれは予想のはるか上をいくシロモノであったと思い知らさせることとなる。
まず目がいくのは夫である誠二とその母の雪子の異常性と2人に過剰なまでに虐げられる主人公の姿。
誠二は30代なのに母親のあ~んがないと食事をせず、雪子と一緒にお風呂に入るのが当然であり、雪子の言葉は
全て正しいと確信しているという、異常なまでのマザコンである。
さらに誠二は異常な性癖の持ち主でもあり、毎晩主人公の首を死ぬ寸前まで絞めたり、意識を失うまで
殴る蹴るの暴行と、誰もが酷いと思う行為の数々を繰り返してくる。
それだけに留まらず、義母の雪子も主人公に常に精神攻撃を仕掛け、「クズ」や「ゴミ」等の文句は序の口、
罵言雑言は主人公の両親にまで及び、食事は毎回2人の食べ残しを床に這い蹲って食べさせられる。
心身ともに弱りきった主人公が体調を崩しても家の掃除をさせたり、無理矢理外出させたりする。
追い詰められた主人公が実家へ逃げ出すも、先回りした雪子の嘘に騙され激怒した両親に勘当されるという
シーンは数ある仕打ちの中でも特に惨い。
挙げ句の果てには心の支えであった物を誠二に燃やされ、攻略キャラとの再会を浮気と見なされて裁判に
かけられ心も体もズタボロにされる。
これらを乗り越えてもなおハッピーエンドを目指すも、同じような厳しい展開が待っているので、
主人公同様心身ともに疲れきった状態のプレイヤーに耐えうる力は残されているのだろうか。
またこの作品のテーマが「甘く切ない恋」で、「甘く幸せなストーリーじゃなきゃ認めない!
という人にはオススメできない」と公式ブログでアナウンスされているのだが、本作を嬉々としてプレイする
人がいるのかどうかも怪しい。
また本作も例に漏れず全年齢対象である。

まだ梅雨のじめじめもぬけない日が続き、『再会』の襲来で鬱々とした雰囲気がスレに漂う中、
毎年恒例となりつつあるあのメーカーから知らせが来たのは7月某日のこと。
オトメイトの『キミカレ ~新学期~』(キミカレ)
2010年に携帯電話で配信されたソーシャルゲーム「君とナイショの・・・・・・今日から彼氏」が原作である本作は、
2010年大賞『天下一★戦国LOVERS DS』の再来かとスレ住人を大いに期待された。
まずストーリーについてだが、ある日突然7人のイケメンから告白されるところから始まる。
シチュエーションもさることながら、とあるキャラの告白理由も「転校してきてあまり話したことがないけど、
近所に引っ越してきてから好きだ(大体原文ママ)」といった電波っぷりを発揮しつかみは上々。
ストーリーも携帯電話乙女ゲーム特有のぶつ切りで、試験が終わった直後に攻略キャラとのテスト勉強イベントが
発生したり、ついさっきまで主人公と話していたのに瞬間移動でもしたのかいつの間にか別の場所で別のキャラと
話していたりと矛盾が発生。
攻略キャラ達が主人公を好きになった理由も、上記の告白をしたキャラクターは本編で明かされているものの、
他のキャラクターはエンディングを迎えても明かされることなく終わる。
システム面でも粗が目立つ。
スキップやオートといった基本的な機能は搭載しているが、選択肢前のセリフではスキップが必ず止まり、
その上ボイスを最後まで聞かないとボタン操作さえ反応してくれない。
ボイスをOFFにすれば飛ばせるだろうと思っても肝心のボイスON・OFF機能は搭載していない。
PSP版の追加要素として時限選択肢と定期試験があるが、それは単に制限時間が0になるとカーソルがあわせてある
選択肢を勝手に選ぶだけで、「何も選ばなかった場合の選択肢」というものは存在しない。
またこの時限選択肢と定期試験は共通ルートのみで個別ルートにはなく、これといって追加した意味が
見当たらない。
定期試験も攻略キャラの好感度を十分に上げているのに、試験の結果がよくないとベストエンディングに
到達できないといった仕様で、1人目の攻略中でも容赦なく共通ルートの内容であるが他のキャラのネタバレを
試験に含めてくるので、ネタバレを好まないプレイヤーには厳しいものとなっている。
これからもずっと一緒にいようと言いながら、軽蔑し主人公に手を出したら潰すとまで言った父親が
経営する店を、母の遺言でホストとして協力しなければならないからという理由で結局別れることになった時、
世の乙女達はどんな反応をするのだろうか。
これでも十分な力を持っているのだが、『キミカレ』の恐ろしさはここからが本番なのである。
デバッグ?そんなの知らんがなと言わんばかりのバグが本作には存在する。
8月に夏休み前の準備をしたり、元旦を過ぎてから元旦に初詣に行く約束をするバグ。
ゲーム内で雨が降ると室内に場所が変わっても振り続け、イベントスチルが表示されても止まないバグ。
立ち絵が分身してキャラが2人同時に表示されるバグ。
立ち絵の服装指定ミスで校内にいるのに私服であったり、こちらに近づくと制服→離れると私服に変わる
といったバグ。
イベントスチルに影絵のように立ち絵が表示されスチルの全体が見れないバグ。
某修羅の国で伝説となったあのゲームのように攻略キャラの後ろに背後霊のようにキャラが立っているバグ。
これらの中にはロードしても直らないものもあり、そのストーリーが終わるまでずっとそのままの状態で
続けざるをえないのである。
ストーリー、システム、バグと隙のない作りに、スレ住人はかつてないほどの盛り上がりを見せた。
「天下一★戦国Lovers DS」でも何かと話題を呼んだが、本作もなかなかものであると言えよう。

以上4作品のノミネートを紹介したところで大賞を発表しよう。
2012年乙女ゲー的クソゲーオブザイヤー大賞に輝いたのは――――『キミカレ ~新学期~』である。
本年度も前年同様中身で勝負となったものが多く集まった。
これは細々としたバグや話の矛盾などはあるが致命的なものはなく、問題なくプレイできるものが
大半を占めた結果である。
もちろんそれは大変喜ばしいことで、かの勇者が残した「クソゲーなんて1本も出ないのが一番良い」
の言葉通り実現へと近付いているのではないのだろうか。
だがそれにはまだまだ問題があるようで、「バグが駄目なら精神を攻撃すればいいじゃない」と
嘲笑うかのように別方向へチェンジしてきた。
特にこの4作品はプレイヤーの痛いところを的確に仕留めてきており、世界一腕の立つ殺し屋もびっくりの
腕前である。
中でも特に異色の存在である『再会』にいたっては、既存のドラマと非常に似通った部分が多々あることが
発覚し、スレ内で大きな話題となり大賞の座が争われたが、電波で矛盾が多いシナリオに粗が目立つシステム、
何より他のノミネート作品にはなかったバグと笑いを誘いつつプレイヤーの精神をガリガリ削るように
これでもかと見せつけてくれた『キミカレ』に軍配が上がり、長きにわたる戦いに幕が下りた。

最後に大賞に輝いた『キミカレ』から南千歳の言葉を借り、クソゲーという称号を与えられた彼らの
切実な思いを綴ることで総評を〆たいと思う。

「僕はまだ・・・クソゲーでしかないですか?」