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青画面の恐怖――2007年大賞『クローバーの国のアリス 』
謎の砂嵐――2008年大賞『クリムゾン・エンパイア』
乙女ゲーム業界で女王の貫禄を見せるQuinRose。
2009年もその力は衰える事を知らず、見事に『ジョーカーの国のアリス』が大賞に輝き、
同時に花梨エンターテイメントの『断罪のマリア』も数々の激闘の末、大賞に輝いた。

今年はどんなすごいものがやって来るのだろう。
そんな淡い期待を抱いて臨んだ2010年。
期待していた作品がクソではなかったなどの残念な出来事もあったが、4月28日、それは突如やって来た。

『ラブルートゼロ Kisskiss☆ラビリンス』
無料で観覧できるケータイコミックがPS2ゲームとして発売された。
コミックが原作のゲームは数あれど、この作品は我々の予想をはるかに上回っていた。
魅力のないキャラクター達。空気の主人公。
デッサンは狂い、塗り忘れもある同人誌以下の低クオリティなグラフィック。
どこかの中高生が書いた様なお粗末なシナリオ。
ゲームの中心となる探索パートは10箇所から好きな所を選んで探索するのだが、マップにヒントも何もなく
何が起きるかは完全ランダム。
途中で見つけたアイテムでイベントを見ることができるが、こちらはアイテムによってイベントが決まって
いる為、序盤でいきなりキスシーンを見ることができるなどプレイヤー無視の恋愛が展開される。
途中、「ゼロ」と呼ばれる敵と戦うことになるのだが、1種類しか存在せずしかも1体ずつしか現れない。
ラスボスも存在するが、少し豪華になった程度で特に変わりはない。
戦闘もすぐにダメージカンストするため、必殺技を見る前に戦闘が終わってしまう。
そんな幾多の試練も、物理教師の西岡先生と天才西岡彗の活躍により全滅不可能とされていた「ゼロ」を
全滅させ、主人公達を無事に異世界から帰還させるという素晴らしい展開で終わる。
主人公の存在理由皆無である。
唯一この作品での褒める所は、声優が豪華という所だろう。

この作品、驚いたことに発売延期を一年以上・・・計5回に渡って繰り返した。にも関わらずこの出来である。
あまりのレベルの高さに家庭用ゲーム版KOTYでも取り上げられ、大賞を争うほどの奮闘を見せた。
余談であるが開発元であるディンプルは今年で業務を終了しており、タイトル通り全てが0となったため、
悲壮感がより漂う結果となった。


強豪の出現で大いに賑わう住人達。
それに続けと言わんばかりに様々な作品の選評が落とされるが、これといって飛び抜けたものはなかった。
しかし8月10日、再び携帯電話から朗報が届いた。

『大和彼氏』
ご当地彼氏・・・日本各地の優秀な男子と恋をする。
このテーマに心惹かれた女子は沢山いるだろう。
だがキャラたちは全員東京で寮暮らしという設定なので、その土地に行って何かするというわけでもなく、
地方ネタといえば好きな食べ物の話、方言、EDで地元に帰るくらいで、無駄になっている。
方言も正しいのか否か不安が残る。
内容はノベルパートとボイスパートに分かれており、この2つが繋がることはない。
ボイスパートはキャラの1人語り。ノベルパートは非常に短く展開が唐突で、恋愛しているという気がしない。
時折見られる一人称・二人称の矛盾や属性キャラ崩壊、地名県名が統一されていないなど、なんでもありである。
イラストについてもそれは同じで、似たようなポーズや角度でトレースや反転が使われているのがまる分かり。
終盤に待ち構えているフラッシュスチルは、ユーザーの心を砕くには十分だろう。
この作品は携帯電話のブラウザゲームであり、遊ぶには料金が必要になる。
1キャラ攻略に必要な料金(ポイント)は税込945円(90P)で、通常の攻略期間は3ヶ月であり、攻略対象は
10人いる。
単純計算で945円×10=9450円(通信料除く)の金額と、3ヶ月×10=30ヶ月の年月がかかることになる。
他にチケットを買うという方法もあるが、こちらもポイントが必要なため、場合によっては損をしてしまう
恐れがある。
ブラウザゲームであるため通信料も発生するので、定額プランに入っていなければ大変なことになってしまうの
で、気を付けなければならない。

しかしこの『大和彼氏』、公式サイトでは「恋愛音声ドラマゲーム」とジャンル付けされているが、各
キャリアではゲームカテゴリではなく着メロとしてカテゴライズされているという事実。
着メロならば、あのクオリティは仕方ないのかもしれない。


季節を秋に移した10月7日。
暑さも弱まり、落ち着きを取り戻したと思われたが・・・。
本当の戦いは、これからだったのだ。

『天下一★戦国LOVERS DS』
「乙女ゲーム・オブ・ザ・イヤー2009」モバイル部門第1位を獲得したこの作品。
その実力は携帯電話から携帯ゲーム機へと移っても変わることはなかった。
そう・・・変わることはなかったのである。
セーブはキャラごとに1つ。ロードは存在しない。
スキップモードはボタンを押しっぱなしでなければ機能せず、速度もかなり遅い。
章が終わる度、シナリオ進行状態を評価してくれるが、その後オートセーブされるため結果を見てやり直す
ことは不可能。
回想モードでイベント回想は出来ない為、見たいならそのキャラを最初からやり直さなければならない。
「新規書き下ろしを含め、100章以上の壮大なストーリー!」と謳っていたが、1章5分あるかないかで
1キャラにつき10章というだけ。
EDは極楽・通常・地獄の3種類。
家臣をまず極楽か通常EDで攻略しなければ主君を攻略することができず、何故か家臣シナリオを引き継いで
の主君シナリオなので、家臣と両思い状態から主君に乗り換える、いわゆる寝取られストーリーが展開される。
主人公が天下一の美貌の持ち主で、いつの間にかキャラ達が惚れており、事あるごとに体を重ねたがるので
純粋な恋愛を楽しめることはほとんどない。

DSの利便性を捨ててまで”純粋な”移植こだわったこの作品。
これだけでも驚きの連続なのだが、それ以上に驚きな点がある。
それは、攻略できるキャラ9人の内、2人しかストーリーが完結していないのだ。
何かの間違いかと思われるだろう。
この事は取扱説明書にしか記されておらず、パッケージや公式サイトでは触れられていない。
よって買わなければこの事実がわからないようになっている。
はじめから「続きは携帯アプリで!」が決まっていた、有料体験版なのである。
あまりの素晴らしい出来栄えに携帯ゲーム版KOTYでも取り上げられ、スレを賑わせたのは当然とも言えるだろう。


強敵がスレを襲い阿鼻叫喚となる中、またしても携帯電話から名乗りをあげる者が11月1日に乗り込んできた。

『湘南★初カレDiary』
この作品は主人公に初めての彼氏ができ、恋人となってから物語が始まる。
初めての彼氏・・・そう言われて、何を思い浮かべるだろうか。
2人で登下校?手を繋いで歩く?初デート?
きっと純愛な物語を思い浮かべることだろう。
だがこの作品は違う。いかにして2人が初体験を迎え、大人の階段を登るかを目的としたゲームなのである。
それを示すかのように、あるキャラでは序盤でディープキスを迫ってくる。
その光景が事細かく書かれているため、気分を悪くしたユーザーが多数存在する。
他にも攻略キャラと昔付き合っていた女性が横から入ってきたり、主人公の友人が攻略キャラに迫ってきたり。
それを突っぱねず受け入れる攻略キャラも本当に主人公の事が好きなのか疑いたくなってくる。
攻略キャラには修羅場にするサブキャラが必ずと言っていいほど1人は存在するのだ。
システム面も素晴らしいことになっている。
ボルテージ特有の時間制限付き、制限解除の手段はなし。往来の作品にあったはずの簡易セーブの撤去。
プレイ中に通信エラーで頻繁に強制終了。1話の内に何度も通信が入り、その時点でオートセーブされるため
やり直しがきかない。通信容量の上限が低い場合、すぐに達してしまいそこでも強制終了。
「続けるのが辛い・・・」
そう言って、EDまで辿り着く前に耐え切れず退会したユーザー続出。
それほどまでにユーザーの斜め上を全力疾走しているということなのだろう。

忘れてしまいそうになるが、この作品は携帯アプリゲーム。
つまり、どの年齢でも自由にプレイできるのである。
その事を考えると・・・。


以上がノミネート作品である。
それでは今年度の大賞を発表しよう。
2010年乙女ゲー的クソゲーオブザイヤー大賞は――――『天下一★戦国LOVERS DS』である。
携帯アプリからの純粋なる移植、何より他と比べてどんなに頑張っても全キャラ完全攻略不可能という部分が
勝因となった。
違う年に発売していれば皆、栄冠を手にして歴代大賞として並んでいたことだろう。

今年は家庭用ゲーム機よりも携帯電話関連のゲームが豊作という、前代未聞の年となった。
手軽に遊べる反面、地雷にも当たりやすく、泣きを見る可能性も高い。
今回ノミネートされた作品達がそれを証明しており、まさに乙女四天王の名に相応しいといえるだろう。
まだまだ世にはクソゲーが溢れている――そう痛感した年であった。
そして家庭用ゲーム版、携帯ゲーム版のKOTYで取り上げられるという偉業を成し遂げた『戦国LOVERS』と
『ラブルート』には賛美の言葉を贈りたい。
最後に、大賞に輝いた『天下一★戦国LOVERS DS』から、片倉小十郎の台詞を借りて総評を締めくくるとする。

「貴女は危険だ。
 ……クソゲーすぎる。」