ジョーカーの国のアリス〜Wonderful Wonder World〜 選評


厨二病な内容でも面白い作品は世の中に多々あるが、これはダメだ。リアル黒歴史な出来でこちらが恥ずかしくなった。
アリスモチーフというだけで売れてしまった鳩蟻がロゼを調子付かせたのか…
鳩蟻ですら絵がひどかったのに、新作の度にますますひどくなる絵。自ら黒歴史を増やしていく姿には関心さえする。

黒蟻で攻略対象から外され、今回復活したかと思われた2キャラのうち、なんと1キャラは攻略できなかった。
一応エンドはあるが、何だこの扱い。ベテラン声優を連れてきてこの有様である。
他キャラのイベントでこのキャラが出張ってくるシーンがあるのだが、
なぜこれをこのキャラのエンドに持ってこれなかったのかと思ったりした。

システムはロゼなりに頑張ったらしい。
しかしやっと他のPCソフトに並んだというレベル。
大きいバグはないが失笑ものの誤字脱字誤用は健在。
そしてプレイヤーに腱鞘炎を起こさせたいがためにこうしているとしか考えられない程の作業クリックゲーである。
連打せずまともにシナリオを読んでいたらプレイ時間にどれだけかかるかわからない。
連打していてもやたら体力と時間を浪費する。
高い金を払わされ、認証を乗り越えてこれである。ひどい。

絵のレベルは公式サイトを見ればわかると思うが、
あれでも一応サイトに載っているものは、ロゼの中ではまともな出来と判断したもののようだ。
今回もひどい骨折っぷりであった。
ゲーム中で四季が味わえるのだが……四季を表したいのかなんなのか、絵の配色のキツさが増している。
モニターの色彩設定がおかしくなったのかと素で思った

以前の自分は「まあ色が全体的に淡ければまだ見れる絵ではある」と思っていた。
「黒蟻では鳩蟻より大分上手くなったし、このまま上達すれば見れる絵になるだろう」とも思っていた。
ご覧の有様である。

むしろよくここまで劣化した。
もう劣化しようがないと思っていたが、仮にも商業作品でこんなにひどくなるとは思わなかった。
まずほぼすべてのCGで、キャラが見ている方向がおかしい。明後日どころじゃない。
目線が合わないのは当たり前。お前達それでほんとに恋人同士なのかと。
それだけではない、どう見ても足が地面に埋まっていたり、人が斜めに立っていたり、
左腕が右腕の半分の長さしかなかったり、手足があらぬ方向に曲がっていたり、
遠近感がおかしく姉の膝程の身長しかないアリスがいたり、軟体人間がたくさんいたり、
髪や服が重力に逆らっていたり…とにかくひどい。
シュールという言葉で済ましてしまえるレベルではない。どのCGもやたら間抜けなのである。
また、攻略対象でなくアリスがメインのCGがやたら多い。まぁロゼの他作品もそうだけど。
あと無表情ってレベルじゃねーぞみんな!
生気が感じられない、人間らしきものが画面にたくさん並んでいるのだ。ひどい。
コピペもやるならもう少し上手くやればいいのに…と思うくらいあからさま。
背景の木やキノコならまだしも、攻略対象である双子までコピペする始末。

こんな絵では色を淡くしたところでダメである。ゴミはゴミでしかない。
ロゼの絵は全部描き直す以外の方法では商業レベルに持っていけない。
しかしロゼはそんな絵でもリサイクルしていた。
間違い探しのような差分CG、攻略キャラだけ入れ替えアリスは切り抜きなCGも多数あった。

日本語崩壊、アルツハイマーな水増し繰り返しシナリオも健在。
擬音多用については今までのロゼと比べても7割増し。
ライターはご乱心です。めろめろめろめろ。

複数キャラの同時攻略は不可能であるにも関わらず、各キャラのイベントの約半分は、
他キャラルートでも使い回されている。ひどい。
しかも別キャラルートでカウントされている分は既読判定されない。
強制スキップ機能があったことだけは評価したい。

主人公は恋愛はしているかもしれないが、あまりの悲観っぷり流されっぷりについていけない。
ただ、奇天烈な攻略対象達に慣れてしまったのか、主人公が病んでいる感じの描写は減っていた。
流され方の方向も少し違っていて、前作までは危険な攻略対象達の無茶な行動に呆れつつも流される、肝心なところで自己主張を手放す主人公だったが(しかし肝心なところ以外ではぐだぐだした主張を語っていた)、
今回は仲良く遊んでるうちにいつのまにかイチャイチャし始めていた。これがビッチか。甘いと言えば甘いのかもしれない。
全年齢対象なのにやたら性行為をほのめかすような文章があるのも相変わらず(ほのめかすどころがガチなのもあるが)。
主人公がいる布団に遠慮なく入ってくる攻略対象達。そんなことをしそうにないキャラまで入ってきた時にはさすがに絶望してクリックする手が止まった。
ロゼが大好きな殺すだの殺されるだのなイベントもある。というか増えた。繰り返すがこのゲームは全年齢対象である。

鳩蟻はクリックの辛さを味わいながらもなんだかんだ楽しめた。黒蟻もバグにあたりPCが壊れるまで、内容は楽しんでやっていた。
けれど今回は声優さんの声になんとか萌えたくらいで、他に覚えているのはただひたすら「ひどい」と思ったことだけだ。
その声優が読むのもアルツハイマーな文章なのが問題だが。

イチャイチャしてる描写はあるのにまったくニヤニヤできなかった。
好きなキャラもいたのだが…絵とシナリオ劣化のせいで、「攻略対象全員同じキャラに見える」現象が加速していたためか、好きだったキャラにももう萌えることができなくなっていた。


時間の無駄だった。
最終更新:2010年05月02日 19:47