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*RearPheles -Red of Another- 開発・販売元:Matatabi [[公式サイト>>http://matatabi.tv/rearpheles/rm/lineup_vol1.php]] *製品概要 | タイトル | RearPheles -Red of Another- | | ジャンル | 謎解き探索恋愛AVG | | 対応機種 | Playstation Vita | | 定価 | 通常版・ダウンロード版:6,264円(税込) | | 発売日 | 通常版:2015年8月27日 ダウンロード版:2015年9月17日 | *要点 ■狼から逃げつつ謎を解いていくという所謂鬼ごっこゲー。 ■しかし、鬼ごっこパートの操作性が最悪で、表現するなら初代バイオハザード+初代クロックタワー÷2 ■主人公が異常に鈍足。Rボタンで走っても小走り程度の速さしかない ■狼はワープ能力持ち。後ろから追いかけてきているはずなのに、突然前に立ちふさがってくること多数。 ■案の定食べられるが、SEが無駄にえぐい ■マップは不思議のダンジョン式に毎回変化するため、道を覚えることは不可能 ※以上は後のパッチによってスキップ可能になっている ■文章が幼稚極まりない上、シナリオ中の整合性が取れていない ■日常パートで無駄に引き延ばす割には、重要なシーンでの説明をすっ飛ばす ■主人公が異常なほどに馬鹿で、明らかに世界観にそぐわない *選評 RearPheles -Red of Another- 企画・販売元:Matatabi 通常版:2015年8月27日 DL版:2015年9月17日 発売 通常版・DL版 6,264円(税込) 今作は狼から逃げつつ攻略対象との恋を楽しむという、新しい感覚のAVGである。 ノベル形式の乙女ゲーが多い中で、3Dを利用した探索・逃走パートは斬新かつ興味を十分に惹きつける要素ではあるのだが。 しかし、無駄に音量のでかい公式サイトを見てみるとそこには、作品の基本情報、関連イベントやグッズの情報、製作側ツイートしかなく、普通ならばあって然るべき「ストーリー」「キャラ紹介」「ゲームのシステム」の説明が一切ない。 ストーリーとキャラクターを知れるのはドラマCDのページだけであるが、そのページは画面の一番左のバナーに配置されており、中央部にあるのはグッズの販促とイベントの宣伝。 この時点で製作側の意識に疑念を抱かざるを得ない。 今作をプレイする上でまず目にするOPの時点で動きはカクカクしており、立ち絵やスチルはVitaとは思えないほど解像度が低い。せっかくの綺麗な絵なのに、立ち絵もスチルもぼんやりしている。 次に目につくのはボタンの反応の遅さ。体感時間にして約5秒ほどかかる。 ボタンを押すよりもオートモードのほうが快適かつサクサクと読み進めることが出来るとはいったいどういう事なのだろう。 ロードも異様に長く、3Dパートに入る際は体感時間にして約2分ほどかかってしまう。 セーブデータの読み込み、リトライですらも約30秒ほどかかってしまう始末。昨今はスマホゲーでもここまで長くはない。 サイトを見た時に抱いた疑念は、開始後数秒にして的中してしまうのである。 次に3Dパート。これが当初の一番の問題点であった。 プロローグで突然見知らぬ赤ずきんに「狼が近くにいるから逃げろ」と言われ、移動はスティックで出来る、狼が近くにいる時はラップ音がするといった基本中の基本を教えられただけで、体感時間にして約2分のロードの果てに鬼ごっこスタート。 しかし、操作性が異常に悪い。例を挙げるとすれば、初代クロックタワーと初代バイオハザードを足して2で割った程度と言ったところ。 スティックを動かしても説明通り移動することしかできず、Rスティックでの方向転換→Lスティックで進むといった作業をこなしていかなければならない。 これだけならばまだマシであるが、移動スピードが異様に遅く、Rボタンで走っていても徒歩と変わらないか小走り程度のスピードしか出ない。狼から逃げなければならないのにこれでいいのか。 いいわけがない。案の定すぐに食べられてしまう。「くっちゃくっちゃぐちゃぐちょ」という無駄にえぐいサウンド付きで。 しかも狼は、追いかけてきているはずなのになぜかど主人公の進行方向側から現れることが多い。どうやらこの狼、瞬間移動の能力を有しているようだ。 狼が進行方向から現れた場合は、横をすり抜けるなどの対策はなく、上記のように移動スピードが遅いため、逃げるために後ろを向いた瞬間に即座にぐちゃり、というのはもはや常である。 救済措置として難易度選択が付いているが、はっきり言って意味がない。 EASYでも操作性の悪さは変わらない上、マップは似たような景色が続く上、脱出ポイントや鍵の位置、地形すらも不思議のダンジョン式に変化するため、道を覚えることが出来ず、結果すぐに食べられてしまう。必要性が皆無な要素となり果てている。 3Dパートの始めには必ず赤ずきんが現れるのだが、彼女はアドバイス等の手助けをしてくれるわけではなく、ただ現れるだけ。基本的に何もしないのに、そこにいる意味はあるのか。 なお、この3Dパートは、後にパッチによって飛ばすことが可能となった。つまり、本編のシナリオには特に影響しないという事である。3Dパートとはなんだったのか。 次にシナリオ。3Dパートを飛ばすことが出来るようになった分、こちらの粗も目立つようになった。 シナリオすべてが「頭をポンポンと叩かれた」「パクパクと食べた」「○○が××をしたから□□になった」といったような、稚拙極まりない文章で構成されている上、 もらったものがもらっていないことになっていたり、逃げ切ったのに逃げ切れていないことを前提に話が進んだりと整合性が取れていない箇所が多々。 話のテンポも悪い。 例)A「……」 B「……えーっと?」 A「何か?」 B「べ、別に」 C「???」 B「だ、誰ですか?」 A「Aですけど」 と言ったように、本来であれば「誰ですか?」「Aです。」で済む内容を無駄に引き延ばしてある。 今作は、シナリオの大半が日常パートとなっているため、なかなか話が進まず、それに加えボタンの反応も遅いため、オートで進めているうちに寝落ち…なんてこともあったほど。 ポゼマゼの選評ではシナリオの短さを指摘したが、こちらは話が進まないが故に長く、3Dパートを含めると、1キャラに10時間弱かかってしまう。 つまり、リアフェレスのキャラを攻略する間に、ポゼマゼをフルコンプ出来てしまうのだ。 しかし、こうしてだらだらと日常パートを引き延ばす割には、シナリオにおいて重要だと思われる部分では「あの時はああするしかなかったんだ」「それはいいから、この話だけど…」と徹底的に省略してくる。 その為、全く説明がされずに、謎のまま終わってしまう謎がちらほら存在する。 主人公と攻略対象は元から仲が良い設定のため、意味のない引き延ばし会話もリアリティがあると言ってしまえばそれでおしまいなのだが。 プロローグの赤ずきんといい、長く尺を取るべき重要な場面での説明や推理を端折って当人たちだけで勝手に話を展開されては、プレイヤーはついていけない。 次に主人公。攻略対象は総じて良キャラ揃いだが、肝心な主人公がダメ過ぎる。 「お部屋」「おうち」「お料理」等、どこぞの清らかな神子様を彷彿とさせる言葉を操り、口調は「○○だよねぇ」「○○だけどなぁ」と間延びしていて緊張感が皆無、狼に狙われているという自覚も無く単独行動をしたがり、 すぐそこに狼が迫っているという危機的状況でも危機感を持たずに「お花がきれい」と呟く文字通りのお花畑思考全開という、今作のホラーな世界観とは明らかにミスマッチ。 恋愛に鈍いという設定上、ちらつかされる好意に気付かない…というところまではいいが、いちいちすぐ傍にいたキャラに「今のどういう意味?」 「○○に××って言われたんだけど、なんで?」と空気も読まずに尋ねて困惑させたり、 あからさまに異性としてスキンシップをされているのに「なんでこんなことするの?」とこれまた空気を読まずに尋ねる。 行動も唯我独尊で、「近づくな」と警告をされているのに近づいて案の定殺されかけ、挙句の果てには「わかってる!!」と逆ギレまでするのに学習せず近づいてまた殺されかけ、 再度「近づくな」と警告されても次の日には「会って話がしたい」「命を狙われるよりも、会えないほうが嫌」などと言ってのけやっぱり殺されかける…という無限ループ。呆れるしかない。 文字通り「バカなの? 死ぬの?」である。 更に、攻略対象の為に料理やお菓子を作るのだが、モノローグで「失敗したかも…」と思っているのに味見は一切せずそのまま提供するという、メシマズ女の特徴も合わせ持っている。 行動も、発言も、何もかもが「バカ」としか言いようのないお花畑主人公に感情移入なんてとてもできそうにない。 次に恋愛面。元から仲が良いグループという事もあって、友達→恋愛に発展するまでの過程がかなり駆け足で、「何故恋心になったのか」がよくわからない。 ルートに入ると、攻略対象の悩みなり過去なりが明らかになり、主人公がそれを解決していく…といういわゆるカウンセリング恋愛。 攻略対象それぞれに異なった展開となっており、その辺りの描写もしっかりされているため、内容はあまり薄いとは感じなかった。 今作にはラブエンド、ハッピーエンド、バッドエンドの3種類あり、ラブエンドは文字通りラブラブで乙女ゲー的な萌えもあるし、ハッピーエンドはハッピーと言いつつもお友達で終わってしまうが、目立った問題はなかったように感じる。 問題はバッドエンド。キャラクターの個性がしっかりしているのに、なぜか「とりあえずヤンデレにしとけばいいだろ」と言いたげに、皆悉く病んでは主人公を殺そうとする。 そこに至るまでの経緯も説明されないため、急におかしくなったとしか言いようがない。 更に、真相ルートとして赤ずきんのルートがある。しかし、真相ルートと銘打っているにも拘らず、明らかにされた真相は大したことが無く、主人公との関連性が今一つわからない。 その上、ラブエンドでも何一つ解決しないまま「こうなったらいいなぁ」で終わってしまう。 ネタバレをすると、冒頭で突然現れ「逃げろ」と言ってきた赤ずきんは実は男。作中で赤ずきんと呼ばれているのは、彼のお姉さんである。 この真相ルートで主人公の頭の弱さと恋愛に鈍いという設定が最大限に発揮され、分かりやすい伏線が大量に張られている上、赤ずきん自身も必死に「狼と結ばれたい」と訴えているにも拘らず、 「どうして狼をかばうの!?」「どうして狼と一緒にいるの!?」と、二人の関係について全く理解していない。 もう90%ほど正解が出ているのに全く気付かない主人公の頭にげんなり。 しかも、最終的には赤ずきんと狼だけで自己解決してしまうため、主人公はただ馬鹿さを露呈しただけに終わった。主人公=予言の子とは何だったのか。 過程や結果の描写不足&文章の無駄な引き延ばしのおかげで、描写はいいのにシナリオは全体的に微妙だった。 最後に総評。 着眼点は悪くない。だけど、はっきり言って素人が作ったとしか思えない出来。 …といっても製作のMatatabiは乙女ゲーどころかゲーム会社としても新参であり、今作の出来の悪さは圧倒的知識不足と経験不足からくるものだと、一応庇い建ては出来る。 でも、デバックの時点で気付くであろう問題点を、何も改善せずにそのまま発売→公式HPのアンケートに寄せられた意見を受けてようやく改善…という企業の怠慢はフォローのしようが無い。 しかし、褒められる点が無いわけではない。恋愛ゲームとしては、テンプレながらも要所はきちんと押さえており、ゲーム画面で見るとぼんやりとしているが、絵自体は綺麗。攻略対象も個性的。 さらに、こちらもポゼマゼと同様に声優さんの演技力が素晴らしく、だらだらとしたシナリオが声優さんのおかげで和気あいあいとした掛け合いになっている辺りは評価に値する。 特にオネェの役を演じている岸尾だいすけ氏の「オネェ」と「男」の演じ分けには言葉では表現できない色気があり、「声優さんってすごいなぁ…」と思わざるを得ないほど感服した。 だがしかし、最凶最悪の3Dパートのせいで声優さんの演技のすばらしさを感じることなく攻略を断念してしまう。3Dパートが少しでもまともなら、KOTY候補作として挙がることもなかっただろうに……。 以上をもって、今作をKOTYに推薦する。
*RearPheles -Red of Another- 開発・販売元:Matatabi [[公式サイト>>http://matatabi.tv/rearpheles/rm/lineup_vol1.php]] *製品概要 | タイトル | RearPheles -Red of Another- | | ジャンル | 謎解き探索恋愛AVG | | 対応機種 | Playstation Vita | | 定価 | 通常版・ダウンロード版:6,264円(税込) | | 発売日 | 通常版:2015年8月27日 ダウンロード版:2015年9月17日 | |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''| |ポイント|馬鹿にも程がある主人公| *要点 ■狼から逃げつつ謎を解いていくという所謂鬼ごっこゲー。 ■しかし、鬼ごっこパートの操作性が最悪で、表現するなら初代バイオハザード+初代クロックタワー÷2 ■主人公が異常に鈍足。Rボタンで走っても小走り程度の速さしかない ■狼はワープ能力持ち。後ろから追いかけてきているはずなのに、突然前に立ちふさがってくること多数。 ■案の定食べられるが、SEが無駄にえぐい ■マップは不思議のダンジョン式に毎回変化するため、道を覚えることは不可能 ※以上は後のパッチによってスキップ可能になっている ■文章が幼稚極まりない上、シナリオ中の整合性が取れていない ■日常パートで無駄に引き延ばす割には、重要なシーンでの説明をすっ飛ばす ■主人公が異常なほどに馬鹿で、明らかに世界観にそぐわない *選評 RearPheles -Red of Another- 企画・販売元:Matatabi 通常版:2015年8月27日 DL版:2015年9月17日 発売 通常版・DL版 6,264円(税込) 今作は狼から逃げつつ攻略対象との恋を楽しむという、新しい感覚のAVGである。 ノベル形式の乙女ゲーが多い中で、3Dを利用した探索・逃走パートは斬新かつ興味を十分に惹きつける要素ではあるのだが。 しかし、無駄に音量のでかい公式サイトを見てみるとそこには、作品の基本情報、関連イベントやグッズの情報、製作側ツイートしかなく、普通ならばあって然るべき「ストーリー」「キャラ紹介」「ゲームのシステム」の説明が一切ない。 ストーリーとキャラクターを知れるのはドラマCDのページだけであるが、そのページは画面の一番左のバナーに配置されており、中央部にあるのはグッズの販促とイベントの宣伝。 この時点で製作側の意識に疑念を抱かざるを得ない。 今作をプレイする上でまず目にするOPの時点で動きはカクカクしており、立ち絵やスチルはVitaとは思えないほど解像度が低い。せっかくの綺麗な絵なのに、立ち絵もスチルもぼんやりしている。 次に目につくのはボタンの反応の遅さ。体感時間にして約5秒ほどかかる。 ボタンを押すよりもオートモードのほうが快適かつサクサクと読み進めることが出来るとはいったいどういう事なのだろう。 ロードも異様に長く、3Dパートに入る際は体感時間にして約2分ほどかかってしまう。 セーブデータの読み込み、リトライですらも約30秒ほどかかってしまう始末。昨今はスマホゲーでもここまで長くはない。 サイトを見た時に抱いた疑念は、開始後数秒にして的中してしまうのである。 次に3Dパート。これが当初の一番の問題点であった。 プロローグで突然見知らぬ赤ずきんに「狼が近くにいるから逃げろ」と言われ、移動はスティックで出来る、狼が近くにいる時はラップ音がするといった基本中の基本を教えられただけで、体感時間にして約2分のロードの果てに鬼ごっこスタート。 しかし、操作性が異常に悪い。例を挙げるとすれば、初代クロックタワーと初代バイオハザードを足して2で割った程度と言ったところ。 スティックを動かしても説明通り移動することしかできず、Rスティックでの方向転換→Lスティックで進むといった作業をこなしていかなければならない。 これだけならばまだマシであるが、移動スピードが異様に遅く、Rボタンで走っていても徒歩と変わらないか小走り程度のスピードしか出ない。狼から逃げなければならないのにこれでいいのか。 いいわけがない。案の定すぐに食べられてしまう。「くっちゃくっちゃぐちゃぐちょ」という無駄にえぐいサウンド付きで。 しかも狼は、追いかけてきているはずなのになぜかど主人公の進行方向側から現れることが多い。どうやらこの狼、瞬間移動の能力を有しているようだ。 狼が進行方向から現れた場合は、横をすり抜けるなどの対策はなく、上記のように移動スピードが遅いため、逃げるために後ろを向いた瞬間に即座にぐちゃり、というのはもはや常である。 救済措置として難易度選択が付いているが、はっきり言って意味がない。 EASYでも操作性の悪さは変わらない上、マップは似たような景色が続く上、脱出ポイントや鍵の位置、地形すらも不思議のダンジョン式に変化するため、道を覚えることが出来ず、結果すぐに食べられてしまう。必要性が皆無な要素となり果てている。 3Dパートの始めには必ず赤ずきんが現れるのだが、彼女はアドバイス等の手助けをしてくれるわけではなく、ただ現れるだけ。基本的に何もしないのに、そこにいる意味はあるのか。 なお、この3Dパートは、後にパッチによって飛ばすことが可能となった。つまり、本編のシナリオには特に影響しないという事である。3Dパートとはなんだったのか。 次にシナリオ。3Dパートを飛ばすことが出来るようになった分、こちらの粗も目立つようになった。 シナリオすべてが「頭をポンポンと叩かれた」「パクパクと食べた」「○○が××をしたから□□になった」といったような、稚拙極まりない文章で構成されている上、 もらったものがもらっていないことになっていたり、逃げ切ったのに逃げ切れていないことを前提に話が進んだりと整合性が取れていない箇所が多々。 話のテンポも悪い。 例)A「……」 B「……えーっと?」 A「何か?」 B「べ、別に」 C「???」 B「だ、誰ですか?」 A「Aですけど」 と言ったように、本来であれば「誰ですか?」「Aです。」で済む内容を無駄に引き延ばしてある。 今作は、シナリオの大半が日常パートとなっているため、なかなか話が進まず、それに加えボタンの反応も遅いため、オートで進めているうちに寝落ち…なんてこともあったほど。 ポゼマゼの選評ではシナリオの短さを指摘したが、こちらは話が進まないが故に長く、3Dパートを含めると、1キャラに10時間弱かかってしまう。 つまり、リアフェレスのキャラを攻略する間に、ポゼマゼをフルコンプ出来てしまうのだ。 しかし、こうしてだらだらと日常パートを引き延ばす割には、シナリオにおいて重要だと思われる部分では「あの時はああするしかなかったんだ」「それはいいから、この話だけど…」と徹底的に省略してくる。 その為、全く説明がされずに、謎のまま終わってしまう謎がちらほら存在する。 主人公と攻略対象は元から仲が良い設定のため、意味のない引き延ばし会話もリアリティがあると言ってしまえばそれでおしまいなのだが。 プロローグの赤ずきんといい、長く尺を取るべき重要な場面での説明や推理を端折って当人たちだけで勝手に話を展開されては、プレイヤーはついていけない。 次に主人公。攻略対象は総じて良キャラ揃いだが、肝心な主人公がダメ過ぎる。 「お部屋」「おうち」「お料理」等、どこぞの清らかな神子様を彷彿とさせる言葉を操り、口調は「○○だよねぇ」「○○だけどなぁ」と間延びしていて緊張感が皆無、狼に狙われているという自覚も無く単独行動をしたがり、 すぐそこに狼が迫っているという危機的状況でも危機感を持たずに「お花がきれい」と呟く文字通りのお花畑思考全開という、今作のホラーな世界観とは明らかにミスマッチ。 恋愛に鈍いという設定上、ちらつかされる好意に気付かない…というところまではいいが、いちいちすぐ傍にいたキャラに「今のどういう意味?」 「○○に××って言われたんだけど、なんで?」と空気も読まずに尋ねて困惑させたり、 あからさまに異性としてスキンシップをされているのに「なんでこんなことするの?」とこれまた空気を読まずに尋ねる。 行動も唯我独尊で、「近づくな」と警告をされているのに近づいて案の定殺されかけ、挙句の果てには「わかってる!!」と逆ギレまでするのに学習せず近づいてまた殺されかけ、 再度「近づくな」と警告されても次の日には「会って話がしたい」「命を狙われるよりも、会えないほうが嫌」などと言ってのけやっぱり殺されかける…という無限ループ。呆れるしかない。 文字通り「バカなの? 死ぬの?」である。 更に、攻略対象の為に料理やお菓子を作るのだが、モノローグで「失敗したかも…」と思っているのに味見は一切せずそのまま提供するという、メシマズ女の特徴も合わせ持っている。 行動も、発言も、何もかもが「バカ」としか言いようのないお花畑主人公に感情移入なんてとてもできそうにない。 次に恋愛面。元から仲が良いグループという事もあって、友達→恋愛に発展するまでの過程がかなり駆け足で、「何故恋心になったのか」がよくわからない。 ルートに入ると、攻略対象の悩みなり過去なりが明らかになり、主人公がそれを解決していく…といういわゆるカウンセリング恋愛。 攻略対象それぞれに異なった展開となっており、その辺りの描写もしっかりされているため、内容はあまり薄いとは感じなかった。 今作にはラブエンド、ハッピーエンド、バッドエンドの3種類あり、ラブエンドは文字通りラブラブで乙女ゲー的な萌えもあるし、ハッピーエンドはハッピーと言いつつもお友達で終わってしまうが、目立った問題はなかったように感じる。 問題はバッドエンド。キャラクターの個性がしっかりしているのに、なぜか「とりあえずヤンデレにしとけばいいだろ」と言いたげに、皆悉く病んでは主人公を殺そうとする。 そこに至るまでの経緯も説明されないため、急におかしくなったとしか言いようがない。 更に、真相ルートとして赤ずきんのルートがある。しかし、真相ルートと銘打っているにも拘らず、明らかにされた真相は大したことが無く、主人公との関連性が今一つわからない。 その上、ラブエンドでも何一つ解決しないまま「こうなったらいいなぁ」で終わってしまう。 ネタバレをすると、冒頭で突然現れ「逃げろ」と言ってきた赤ずきんは実は男。作中で赤ずきんと呼ばれているのは、彼のお姉さんである。 この真相ルートで主人公の頭の弱さと恋愛に鈍いという設定が最大限に発揮され、分かりやすい伏線が大量に張られている上、赤ずきん自身も必死に「狼と結ばれたい」と訴えているにも拘らず、 「どうして狼をかばうの!?」「どうして狼と一緒にいるの!?」と、二人の関係について全く理解していない。 もう90%ほど正解が出ているのに全く気付かない主人公の頭にげんなり。 しかも、最終的には赤ずきんと狼だけで自己解決してしまうため、主人公はただ馬鹿さを露呈しただけに終わった。主人公=予言の子とは何だったのか。 過程や結果の描写不足&文章の無駄な引き延ばしのおかげで、描写はいいのにシナリオは全体的に微妙だった。 最後に総評。 着眼点は悪くない。だけど、はっきり言って素人が作ったとしか思えない出来。 …といっても製作のMatatabiは乙女ゲーどころかゲーム会社としても新参であり、今作の出来の悪さは圧倒的知識不足と経験不足からくるものだと、一応庇い建ては出来る。 でも、デバックの時点で気付くであろう問題点を、何も改善せずにそのまま発売→公式HPのアンケートに寄せられた意見を受けてようやく改善…という企業の怠慢はフォローのしようが無い。 しかし、褒められる点が無いわけではない。恋愛ゲームとしては、テンプレながらも要所はきちんと押さえており、ゲーム画面で見るとぼんやりとしているが、絵自体は綺麗。攻略対象も個性的。 さらに、こちらもポゼマゼと同様に声優さんの演技力が素晴らしく、だらだらとしたシナリオが声優さんのおかげで和気あいあいとした掛け合いになっている辺りは評価に値する。 特にオネェの役を演じている岸尾だいすけ氏の「オネェ」と「男」の演じ分けには言葉では表現できない色気があり、「声優さんってすごいなぁ…」と思わざるを得ないほど感服した。 だがしかし、最凶最悪の3Dパートのせいで声優さんの演技のすばらしさを感じることなく攻略を断念してしまう。3Dパートが少しでもまともなら、KOTY候補作として挙がることもなかっただろうに……。 以上をもって、今作をKOTYに推薦する。

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