「第5話「野宮なんて大キライ!」」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「第5話「野宮なんて大キライ!」」(2006/11/26 (日) 21:05:00) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
僕の、好きのもの。
平和、そして
まともな人。
----
**第5話「君と出会って、初めて殺意というものが芽生えた」
----
「・・・で。結局落ちちゃったのか」
校庭の片隅、銀杏の木の下で、野宮は座りながら言った。
肌寒い風を感じながら、僕はうつむき、靴で小石をけりながら言った。
「お前のせいだ」
野宮が、その無駄に長い腕を伸ばし、木の棒をとる。
パチパチと火が燃える音がする。
「お前って、どうしていつもオレの邪魔すんの?」
きつい口調。握り締めた両手。そして、冷たい心。
知らない。
こんな自分、僕は知らない。
ぎゅ、とまた手を強く握った。
心まで強く握られた気がした。
「どうしてだろうなあ」
空を見上げて、呆けた口調で野宮が言う。
枯れ葉がひらり、と1枚舞った。
まるで、何かに逃げたように。
「なんか、いつのまにか、終の邪魔してるんだよなあ、オレは。」
ごめん、と野宮が口にした。
野宮が謝るなんて、すごく珍しいことだ。
しかも僕以外には謝らないらしい。
それは、野宮は間違ったことをしないからだろうか。
ぼく以外は。
「もうオレに近づくな」
そうつぶやいて駆け出した。
つぶやいた口が息を吐き、また新しい酸素を吸う。
空を見上げた。
冷たくて、さみしい空だった。
「これから、どうなっちゃうんだろ」
僕は灰色の校舎へと足を向けた。
終が去った後、野宮は焚き火の中から芋を取り出した。
よく焼けた焼き芋は甘くておいしかった。
しかし焼きすぎた部分は苦くて、甘かった口の中が苦味へと変わっていく。
「どうしてだろうなあ。
なんか、いつのまにか、終の邪魔したくなるんだよな、オレは」
にっ、と笑い、立ち上がった。
吐く息が、かすかに、白い。
彼が去った後には、葉が燃える音しか残っていなかった。
(野宮君は許可無しで勝手に焚き火をしました。良い子も悪い子もオッペケペーもマネしないで下さい。)
空を見てた。
遠くて、でも手を伸ばせば届きそうで。
・・・まるで、僕の夢みたいだ。
はぁ、とため息をついた。
黒板では数学のなんたらうんたらとかを説明している。
長い数式が並んでいて、見るだけで目が痛くなった。
・・・野宮。
珍しく寝ないで授業を受けている(といっても板チョコをボリボリ食ってる)
野宮は、先生にチョコを取り上げられて少し涙目になりながらも、
何かの問題をすらすらと、まるで何か暗記してたみたいに、
先生だけを見て答えた。
先生はその何ともいえない怖さ
(多分、チョコを取り上げられて怒っているのだろう)
に目をそらし、小さく、「正解」と言った。
辺りからは感嘆の声が聞こえてくる。
野宮は、先生の持っていたチョコを奪い返すと、そのまま教室を出て行った。
まったくあいつは・・・と、先生がぶつぶつと何か言ってる。
「終、終。」
後ろの席の神木七海が僕の背中を叩く。
「なんか今日、野宮機嫌悪くないか?お前にもなんも話しかけないし・・・何かあった?」
神木は小学校からの友人だ。
名前のせいでよく苛められていた僕をかばってくれたこともあった。
それにお互い普通の、同じような人間だったからわりと仲良くなったし、好みとかもよく似ていた。
僕と同じレベルだから、高校も一緒だった。
高校生で同じクラスになってからずっと側にいた。
同じクラスで後ろの席。そして普通の、まともな友達。
野宮なんかにつきまとわれて最近存在忘れてたけど・・・(ひど!!)
そうだ。
僕にはこんな普通の友達がいたじゃないか。
ありがとう、神木。
少し感動(何に?)してた僕を神木が揺さぶる。
どうした、と言ってる。
はっとした。
「おい、大丈夫か?オレの話、聞いてた?」
「あ、うん。聞いてたよ。
野宮の将来の夢は砂糖になるってことでしょ?」
「全然関係ないけど、それすごいな」
そういえばパティシエの食べる係にもなりたいとも言っていたっけ。
**「結局甘いものかよ!!」
机をバアン、と殴る。
神木はびっくりしている。
先生に至っては泣いている。
手が痛い。おもわず頭を抑えた。
「何でオレがツッコミを・・・」
「終!大丈夫か?痛いとこないか?保健室いくか?それとも精神科・・・」
「何気にひどい事言ってるな、神木。」
あ、ごめん。
と謝っている神木を無視して(お前もひどいな!!)教室を飛び出した
どこに向かうかなんて、考えてなかった。
ただ夢中で走っていた。
でも、どこかで君はあそこにいる、ってきっと信じてた。
なぜかは分からないけど、でも。
居た。君はここにやっぱり居た。
だけど
「なんでこんなことになってるんだよ・・・」
ゴオオオオオォォ
「あ!終、あったけーだろー」
**燃えてるよ、火が。
「お前!何でこんなことになってるんだよっ!」
「さっきさー、オレ焼き芋してただろー。
その時の火、ほったらかしにしてて。
そんでその火の近くには木があって。このとーり」
なんでほったらかしにするんだよっ
どんどん火は大きくなって、辺りは熱い。
野宮はのんきに火の周りをスキップしている。
ひ、人を呼んでこなきゃ!
でも、と僕は走りながら、ちら、と野宮の方を振り返りながら思った。
きっと僕は 不覚にも
野宮の楽しそうな笑顔をみてちょっと安心してしまった。
火は消された。
僕が慌てて呼んできた先生達が消防署に連絡をして、
そして来てもらい、消されたのだ。
(ちなみにそこでまだスキップしてた野宮は水を浴びてビショビショになった。)
野宮は、たっぷりと先生からお説教を貰っていた。
結論。
僕には、こいつから離れるという、もう1つの目標ができた。
第5話「君と出会って、初めて殺意というものが芽生えた」
終わり
つづく。
----
初あとがき
こんにちはー。優田です。第5話で初めてあとがきって・・・でも基本的に気に入っている話や、思い入れの深い話にはあとがきを書きますので、よろしくお願いします。
今回の話は結構人気でした。(友達に)
私1人で考えたんですけど、つまんなくならなくて良かったです。
まあ第5話っていうか全然話進んでないですね。番外編のほうがよかったかな?
終が野宮に何を言っても全然こたえないってことでした。
多分これから終の夢を野宮が応援していく話になるかな?・・・多分そうですね。
この2人はセットで人気があります。個人個人でも人気なんですけどね。
でも注目は神木君ですよ!ひそかに人気なんです。ああ・・・癒しキャラ・・・。
男同士の友情ってなんか濃いですよね。女の子とはちがう力強さ。でもお互いに尊重しあっているっていうか・・・そういうのを大切に書いていきたいです。
あ!次の回では試験の話ですから。抜かしたわけではないんですよ。
また野宮が何かしますよ~☆(うざ!)
僕の、好きのもの。
平和、そして
まともな人。
----
**第5話「君と出会って、初めて殺意というものが芽生えた」
----
「・・・で。結局落ちちゃったのか」
校庭の片隅、銀杏の木の下で、野宮は座りながら言った。
肌寒い風を感じながら、僕はうつむき、靴で小石をけりながら言った。
「お前のせいだ」
野宮が、その無駄に長い腕を伸ばし、木の棒をとる。
パチパチと火が燃える音がする。
「お前って、どうしていつもオレの邪魔すんの?」
きつい口調。握り締めた両手。そして、冷たい心。
知らない。
こんな自分、僕は知らない。
ぎゅ、とまた手を強く握った。
心まで強く握られた気がした。
「どうしてだろうなあ」
空を見上げて、呆けた口調で野宮が言う。
枯れ葉がひらり、と1枚舞った。
まるで、何かに逃げたように。
「なんか、いつのまにか、終の邪魔してるんだよなあ、オレは。」
ごめん、と野宮が口にした。
野宮が謝るなんて、すごく珍しいことだ。
しかも僕以外には謝らないらしい。
それは、野宮は間違ったことをしないからだろうか。
ぼく以外は。
「もうオレに近づくな」
そうつぶやいて駆け出した。
つぶやいた口が息を吐き、また新しい酸素を吸う。
空を見上げた。
冷たくて、さみしい空だった。
「これから、どうなっちゃうんだろ」
僕は灰色の校舎へと足を向けた。
終が去った後、野宮は焚き火の中から芋を取り出した。
よく焼けた焼き芋は甘くておいしかった。
しかし焼きすぎた部分は苦くて、甘かった口の中が苦味へと変わっていく。
「どうしてだろうなあ。
なんか、いつのまにか、終の邪魔したくなるんだよな、オレは」
にっ、と笑い、立ち上がった。
吐く息が、かすかに、白い。
彼が去った後には、葉が燃える音しか残っていなかった。
(野宮君は許可無しで勝手に焚き火をしました。良い子も悪い子もオッペケペーもマネしないで下さい。)
空を見てた。
遠くて、でも手を伸ばせば届きそうで。
、、、まるで、僕の夢みたいだ。
はぁ、とため息をついた。
黒板では数学のなんたらうんたらとかを説明している。
長い数式が並んでいて、見るだけで目が痛くなった。
、、、野宮。
珍しく寝ないで授業を受けている(といっても板チョコをボリボリ食ってる)
野宮は、先生にチョコを取り上げられて少し涙目になりながらも、
何かの問題をすらすらと、まるで何か暗記してたみたいに、
先生だけを見て答えた。
先生はその何ともいえない怖さ
(多分、チョコを取り上げられて怒っているのだろう)
に目をそらし、小さく、「正解」と言った。
辺りからは感嘆の声が聞こえてくる。
野宮は、先生の持っていたチョコを奪い返すと、そのまま教室を出て行った。
まったくあいつは・・・と、先生がぶつぶつと何か言ってる。
「終、終。」
後ろの席の神木七海が僕の背中を叩く。
「なんか今日、野宮機嫌悪くないか?お前にもなんも話しかけないし・・・何かあった?」
神木は小学校からの友人だ。
名前のせいでよく苛められていた僕をかばってくれたこともあった。
それにお互い普通の、同じような人間だったからわりと仲良くなったし、好みとかもよく似ていた。
僕と同じレベルだから、高校も一緒だった。
高校生で同じクラスになってからずっと側にいた。
同じクラスで後ろの席。そして普通の、まともな友達。
野宮なんかにつきまとわれて最近存在忘れてたけど・・・(ひど!!)
そうだ。
僕にはこんな普通の友達がいたじゃないか。
ありがとう、神木。
少し感動(何に?)してた僕を神木が揺さぶる。
どうした、と言ってる。
はっとした。
「おい、大丈夫か?オレの話、聞いてた?」
「あ、うん。聞いてたよ。
野宮の将来の夢は砂糖になるってことでしょ?」
「全然関係ないけど、それすごいな」
そういえばパティシエの食べる係にもなりたいとも言っていたっけ。
**「結局甘いものかよ!!」
机をバアン、と殴る。
神木はびっくりしている。
先生に至っては泣いている。
手が痛い。おもわず頭を抑えた。
「何でオレがツッコミを・・・」
「終!大丈夫か?痛いとこないか?保健室いくか?それとも精神科・・・」
「何気にひどい事言ってるな、神木。」
あ、ごめん。
と謝っている神木を無視して(お前もひどいな!!)教室を飛び出した
どこに向かうかなんて、考えてなかった。
ただ夢中で走っていた。
でも、どこかで君はあそこにいる、ってきっと信じてた。
なぜかは分からないけど、でも。
居た。君はここにやっぱり居た。
だけど
「なんでこんなことになってるんだよ・・・」
ゴオオオオオォォ
「あ!終、あったけーだろー」
**燃えてるよ、火が。
「お前!何でこんなことになってるんだよっ!」
「さっきさー、オレ焼き芋してただろー。
その時の火、ほったらかしにしてて。
そんでその火の近くには木があって。このとーり」
なんでほったらかしにするんだよっ
どんどん火は大きくなって、辺りは熱い。
野宮はのんきに火の周りをスキップしている。
ひ、人を呼んでこなきゃ!
でも、と僕は走りながら、ちら、と野宮の方を振り返りながら思った。
きっと僕は 不覚にも
野宮の楽しそうな笑顔をみてちょっと安心してしまった。
火は消された。
僕が慌てて呼んできた先生達が消防署に連絡をして、
そして来てもらい、消されたのだ。
(ちなみにそこでまだスキップしてた野宮は水を浴びてビショビショになった。)
野宮は、たっぷりと先生からお説教を貰っていた。
結論。
僕には、こいつから離れるという、もう1つの目標ができた。
第5話「君と出会って、初めて殺意というものが芽生えた」
終わり
つづく。
----
初あとがき
こんにちはー。優田です。第5話で初めてあとがきって・・・でも基本的に気に入っている話や、思い入れの深い話にはあとがきを書きますので、よろしくお願いします。
今回の話は結構人気でした。(友達に)
私1人で考えたんですけど、つまんなくならなくて良かったです。
まあ第5話っていうか全然話進んでないですね。番外編のほうがよかったかな?
終が野宮に何を言っても全然こたえないってことでした。
多分これから終の夢を野宮が応援していく話になるかな?・・・多分そうですね。
この2人はセットで人気があります。個人個人でも人気なんですけどね。
でも注目は神木君ですよ!ひそかに人気なんです。ああ・・・癒しキャラ・・・。
男同士の友情ってなんか濃いですよね。女の子とはちがう力強さ。でもお互いに尊重しあっているっていうか・・・そういうのを大切に書いていきたいです。
あ!次の回では試験の話ですから。抜かしたわけではないんですよ。
また野宮が何かしますよ~☆(うざ!)