ツクヨミとよく似た女性が豪奢な椅子に座ったまま言った。

「ふむ、血族以外の者で私の玉座の間に入ったのは
 貴様らが初めてだ。褒めて使わそう」

ツクヨミがその傍らで頭を垂れていた。

「お姉さま、これが所望されていた物です。
 これで私を王族に戻してくれると約束してくださいまし!」

「ほう、これが反重力素子弾かえ?想像していたより随分お粗末な作りじゃの。
 流石は、猿の作り出した物と言うべきかのぉ」

「お姉さま!私のことは!私を見てください!」

姉と呼ばれた者の指がツクヨミに向いた。

「五月蠅い、ハエじゃのぉ」

一瞬、その指が光ったと思った時
ツクヨミが大の字に倒れた。

「そんな・・・・・お姉さま・・・・・・カグヤお姉さま・・・・・」

ツクヨミを殺したカグヤは玉座から立ち
小太郎達の方を向いた。

「五月蠅いハエは始末し、残るは蛆虫だけか。
 この遊戯が終わったらホモ太郎とやらの力を見てみようかのぉ」

そういい終わった瞬間
小太郎達に強大な力の本流が襲った。

巨体の温羅が部屋の外まで吹き飛ばされ
アナルはマスかきながら窓をぶち割って落下していった。

その圧倒的な力に
スーツを着て調子こいていた小太郎はビビリまくっていた。

「ほう、そちはその珍妙な着物のおかげで
 無事であったか。よく耐えた。褒めてつかわそう」

カグヤは涼しい顔で小太郎を褒めていた。

「だが、私も遊戯に割く時間も少なくてな。
 皇女というものもこれで大変なのだよ。さっさと死んでくれたも」

カグヤが右手を振り上げた。
ただそれだけのに小太郎には右手に強大なエネルギーが収束するのを感じた。

小太郎は圧倒的な差に死を覚悟した。
その時だった。

割れた窓の外から

「弟殿ぉ~!忘れ物でござる~!太郎様からこれを弟殿に渡すように言われていたのでした~」

足の部分から火を出して飛んできたカルピスが
カグヤと小太郎の間に割ってはいった。

カルピスはカグヤのエネルギー波を食らって来た窓から帰っていった。

小太郎の前にはカルピスが持ってきたと思われる
銀色の釣り竿があった。

小太郎の目の前には兄が残したという
釣竿があった。

だが小太郎はトラウマで釣り竿を持つことが出来ない。

今もなおカグヤは攻撃をしようとしていた。

そんな時、頭部で音が響いた。

「サンペー ヲ シニン シマシタ 。 メモリー 3 サイセイ カイシ シマス」

その音の後、懐かしい兄の声が聞こえた。

「小太郎へ これを聞いているということは
 俺は、もう死んでいるのだろうな。
 そしてスーツを着て戦っているということは
 時間もないだろう。だから手短に言う。
 俺の顔の傷はお前のせいじゃない。 
 竿の使い方を上手く教えてやれなかった
 俺が悪いんだ。面と向かって言えなかったが
 傷の事なんか全然気にしていない。
 だから竿を手に取るんだ。それはお前の窮地を救ってくれる
 そして自分自身の力を信じるんだ、小太郎!」


小太郎は落ちていた銀色の釣竿サンペーを手に取った。

そして小太郎はサンペーを振りかぶり

「未来を釣れ!サンペェェェェェェェェェ!」

カグヤに向けて振りぬいた。
スーツの膂力に従い竿と同色の
釣り針がカグヤに向かって飛んでいった。
そのスピードはすさまじくカグヤの後方の玉座を破壊し
その後ろの壁に大穴を開けた。


そして小太郎は竿に手ごたえ
何かが釣れた感触。

竿を引き一気に釣り針を戻す。



先にはアナルが引っかかっていた。


カグヤは目の前で相変わらず元気だった。

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最終更新:2006年11月23日 08:29