9 童話 とりたにたかしのゆううつ

前回のお話:
「う~~~~あにきあにき」 

今あにきをもとめて 全力しっ走しているぼくは はんしん村にすむ ごくいっぱんてきな男の子 
しいてちがうところをあげるとすれば 
たき火にきょうみがあるってとこかナー 
名前はあらいたかひろ 

そんなわけで、はんしん村の中にある あにきかねもとの家にやって来たのだ。
「うほっ・・・いいあにきかねもと・・・。」

あにきかねもとのうんめいや いかに!




はんしん村のわかきリーダーこうほ、とりたに。

とりたには いつものようにふつうに朝めざめ、

朝のあつまりではふつうにあいさつをすまします。


日中はふつうにはたらき、

ふつうの量のごはんをたべて、

ふつうにとこにつきます。


ふつうにまわりとなかがわるいわけでもなく、

かといってすごく良いわけでもなく、

すごくめだつわけでもない。


でもそんざいかんはまぁまぁとあって、

まぁ とくべつユーモアがあるっていうわけでもないけど、

かといって まったくおもしろみがないかと言えばそうでもない。


ともに村にすむ人々は、むかつくほどこせいがつよいので、とりたにはときどきうらやましく思っていました。

みわくのあごをもつ ひらのアゴドリルけいいちに

今日も 人のたんぼに かってにひりょうをばらまく せきもとに

たべられるものには すさまじいはんのうをみせるしもさん。


さらには いろんないみでやりたいほうだいの あにきかねもとや

れんらくがこなくて いえでソリティアにせいをだすひやま。


マインスイーパの上級は もうおてのもののひやま。

フリーセル248連勝中のひやま。

くびにコルセットをまいてせいかつするあかほし

まゆみはやくたたず!しね!!


みんなこせいがあって いいなぁとおもいました。

とりたには、はなのある3ばんばったーをつとめているわりに なぜかじぶんはすごくじみなきがしてきました。

「3ばんばったーってなんだよ!」と ひとりのりつっこみをしたところ、のうみにみられていて なみだめ。



へんかがあったのは そんないつもどおりがつづいていた ある日のことでした。



「え~びば~でぃ せい! せきもと♪ え~びば~でぃせぇい!? せきもと♪」

などと みょうなはなうたをくちずさみながら あにきかねもとのたんぼにひりょうをまいているせきもとのすがたが。

じぶんのたんぼのせわを まずしろよ。と言いたいところですが これがかれのせいかつしゅうかんなのです。


ひととおりさぎょうをおえ まんぞくそうに つぎのはたけに行こうとした そのときでした。

せきもとは かたをたたかれたので、そのままふりむくと おもいっきり がんめんをなぐられました。


ばきっ!!

にぶい音がひびきわたりました。

「いってぇ・・・・///」ゾクゾクッ

(せきもとは かくれどM)


なぐったのはだれかというと あにきかねもとでした。

「おまえがひりょうやりまくるせいで さくもつが くさっとるやないか!しばくぞ!」

そうです。にんげんも しょくぶつも えいようをとりすぎると いろいろくさってしまうのです。

だれとはいいませんが、えいようひをもらったのに くさってしまった人もいますしね。


そのご せきもとはというと、あにきかねもとの家につれていかれ、

「(くちにひりょうをつめこまれ)おいせきもと、そのひりょううまいか?」

「…ひりょうですね…」

「やかましいわ!」

殴る

をひとばんじゅうくりかえされたのち、とてもまんぞくそうなかおで きたくしました。


いちぶしじゅうを見ていたとりたには、なんだかふくざつなきもちになりました。

こせいも もちようだな。と思いました。


そのあと、きたくしたとたんにひやまが

「スパイダソリティアの上級をクリアした!」

といいながら家に入ってきたので むししました。


むしされることになれているのか それともただのむしんけいなのか、

かまわずいみふめいな自慢をつづけるニートひやまがうっとうしかったので とりたには 外にでかけました。


外にでかけると あにきかねもとが あかほしとプロレスごっこをしていました。

「ゴリュッ!」

あかほしのくびから やばい音がした気がしましたが むししました。


つぎの日は、村のはずれで しもさんが なんだかがたいのいい ごりらのようなにんげんのような、やっぱりにんげんに

「おまえ だれのバナナぬすんだか わかってんの?」

とむなぐらをつかまれ、かおに う○んこをぬりたぐられているシーンにそうぐうしましたが、これもむししました。


その日の昼、村を歩いていると なぞのうめきごえが きこえてきました。

なんだろうと思い、とりたには うめきごえをたよりに 歩いていきました。


なんとそこには、家のとびらにあごがつっかかって みうごきできなくなっているひらののすがたがありました。

なかなかみれるこうけいではありませんでしたが、しかたがないので、とりたには たすけてあげました。


たすけられたひらのは、こきゅうをおちつけながら

「ありがとうございました。かならずおんがえしさせていただきます。」

とつげ どこかに走っていきました。


あんまり きてほしくないなぁ。ととりたには思いました。

なんだか やくざの娘とかをたすけちゃった時って こんな感じなんだろうなぁ。

とりあえず とりたには その日はねむりにつきました。



数日後・・・

とりたにの家に、ちいさな とびらをたたく音がひびきました。

なんだろうとおもい とびらをあけると、そこには こがらでかわいらしい女性がたっていました。


とりたには いっしゅんあぜんとしてしまいましたが、れいせいになって 女性にたずねました。

「あの・・・なにか ごようでしょうか。」


じょせいは にこりとわらい、いいました。

「森の中をあるいていたら なぞの 黄色と黒色のしゅうだんにおいかけられてしまい、ここまでにげてきました。

 数日でよいので かくまっていただけないでしょうか。」

とりたにも男の子です。わかくうつくしい女性が うわめづかいでお願いしてきては ことわれませんでした。


「うちでよければ なんにちでもどうぞ!!」

とりたには めずらしく声をおおきくして言いました。

「ありがとうございます。私のことは『めぐちゃん』とおよびください。」


そしてその夜 めぐちゃんを泊めてあげることに しました。

あにきかねもとにばれるとめんどくさいので 言いませんでした。


その日の夜 めぐちゃんといろいろな話をしました。

おりっくす村というところからきたということ。

きんてつ村と がっぺいの話があがり いっかばらばらになったこと。

村をでて はたらきにでたら 森にまよいこんでしまったこと。


その夜、じぶんはげんかんでねることにして、めぐちゃんにへやをあけてあげました。

と、寝る前のことです。

めぐちゃんが

「すいません」

と、ひとこととりたににかけました。


めぐちゃんはとりたにに、

「いそうろうの身で しつれいなのですが、

 ・・・けして中をのぞかないでください。」

と言いました。


としごろのむすめさんには いろいろあるのでしょう。

とりたにも それをしょうちしました。

しかし、しばらくしてから めぐちゃんのへやから はげしいドリルのような けたたましい音がしてきました。


しょうじきいって かなり気になりました。

「・・・だがしかし、やくそくはやくそく。けっしてのぞくまい」

と とりたには おとこらしくがまんしました。



しかし そのうち かなりのもんだいが うかびあがりました。

ギュイイイイイイイイイイイイイイ!!!
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!!!
ガガガガガガガガ!!!

ドリル音がどんどん大きくなり うるさくてねむれないのです。


とりたにも がまんのげんかいにたっしました。

めぐちゃんの部屋のとびらにのっくをして 「がらっ」とあけました。

「なにをやってるんですか!!」


しかしそこには めぐちゃんのすがたはなく、かわりに じまんのアゴドリルで じめんをほるひらののすがたが。

「しまった!!こないだたすけてもらったお礼にと、

 女の子のへんそうをして家にもぐりこんで、

 じめんをほり おんせんみゃくをさがす作戦だったのが、ばれてしまったー!!」

と、せつめいくちょうで ひらのはぜっきょうしました。


そして ひらのは どこかに走り去っていきました。

まさにありがためいわく。

家の下におんせんみゃくなどあるはずもなく、そこにはぽっかりとむすうの穴があいているだけでした。


いっしゅんでもめぐちゃんにときめいてしまった、自分の心にも ぽっかりと穴がのこりました。



とりたには さいきんの日々を思い出し、

ふかぶかとあいた むすうの穴を見てつぶやきました。

「・・・やっぱり、ふつうでいいや・・・。」

ふつうなことは どちらかというと しあわせなことですよね。

おしまい。





次回予告:

とつぜん村にやってきたマッケンジーとなのるおとこ。

彼は あにきかねもとに あにきのざをかけて100番しょうぶをいどんできた!

むだなフルイニングで からだにひろうがちくせきしているあにきかねもとと やたらがたいのいいマッケンジー!

ひそかに あにきかねもとの はいぼくにわくわくするあかほし!

はたして しょうぶのはてにあるものは・・・!

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最終更新:2009年11月03日 16:23
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