3 童話 つらいさんとしあわせのもうこだましい

むかしむかし、あるところにはんしん村という村がありました。
そのはんしん村につたわるでんせつのひとつに、もうこだましい伝せつというものがありました。
『もうこだましいを手に入れた人は、はんしん村のしんの村人になれる』というものです。
そして『もうこだましい」を手に入れるとさらに、今よりたかいのう力をえることができる』というのです。(「ぱわぷろ」というせかいで)
生まれもそだちもはんしん村のにんげんにも、まれに生まれつき「もうこだましい」を体にもつ人があらわれるそうなのですが…。
はたして、もうこだましいのしょうたいはなんなのでしょうか。

ところで、はんしん村のしゅうへんには、「とらとう」とよばれるやばんなみんぞくがいました。

だんかんと名のるきみょうなおとこがとらとうをしきっています。

とらとうは、「はんしんこうしき」とよばれるちほうでおもにせいかつをしていて、
ふだんは川ににんぎょうをなげこんだり、ときにはみずから川にとびこんだり、
なぞのぎしきをくりかえすのでみんなにさけられています。

たとえば、すこしまえにあかほしがのんびりあるいていると、いきなりとらとうがあらわれ、かみをきられた、なんてこともありました。
そのショックで、あかほしはくびをいためてしまいました。
にちはむ村のかたおかは、なぜかいきなりとらとうにどげざされたりと、かなりきけんなみんぞくです。

…なぜかあにきかねもとだけは、そのあふれでるかりすまのおかげなのかとらとうのしゅうげきをうけていません。

ほかには、とらとうは、ふだんき色とくろ色のしましまもようのみんぞくいしょうであいてをいかくする、こうせんてきなみんぞくでした。

一方そのころ、もうこだましいのうわさをきいたつらいさんは、
ぜひもうこだましいを手に入れて、はんしん村にふたたびもどりたいと考えました。

というか、ゆくえふめいとおもわれていた つらいさんは、きせきてきに 生きていました。
せいめい力と うたれづよさだけは ほんものです。
つらいさんは、「もうこだましい」に たどりつくには、まず なにかヒントをえなければいけない と思いました。
そこで、つらいさんは まゆみ村長に もうこだましいについてきくことにしました。

まゆみ村長 なら きほんてきにくうき なので、
いっしょにいても みんなにばれない と考えたのです。
つらいさんは まゆみ村長に そうだんしました。
「つらいです…あにきかね……は、はんしん村が大すきなので…。」

つらいさんは ひっしにうったえかけました。
まゆみ村長は、ついに じぶんが人のやくにたつときがきた、と たいへんこうふんしました。
そして、そこまでいうなら みんなをせっとくしてみよう と思いました。

「あにきかねもとにみとめてもらいたいです…。
 そうすればまた村ではたらけるので…。
 はんしん村につたわる もうこだましいについて、しってることがあればぜひ、おしえてほしいのですが…。」

…まゆみ村長は、しばらくだまりこんだあと

「まぁ…あにきかねもととかは かんけいなく、1日1日 みんなでがんばってるだけだから…」

と ゆっくりかたりかけましたが、しばらくしてふりかえると、

「あにきかねもととかかんけいないってゆってるやろォ!!」

とぶちぎれ。

まゆみ村長は、きほんてきにやくたたずで きほんてきにくうき と言われていることに気づき、
あにきかねもとが すっかりコンプレックスになっていたのです。

つらいさんは大ごえにびっくりしました。
が、しばらくしてあにきかねもとのおこるこえとばせい、あかほしのひめいがきこえてきました。

「あかほしよ、そんなにおれの じごくのもうだショーがみたいんか・・・」

つらいさんはこころの中であかほしに、しもさんのように「すまんな」とあやまりながらにげだしました。

つらいさんは ほかに、もうこだましいにかんして 知ってそうな人を さがしました。
はんしん村ひとすじの ひやまには なぜかれんらくしませんでした。
なにか、れんらくしてはいけない気がしたのです。

そこで つらいさんは、はんしん村にくわしく、今は いんきょしている「どんでん」に 話をききにいきました。

つらいさんは がんばって1からせつめいしました。

すると、どんでんは言いました。

「そらもう桧山よ」

つらいさんは つぎに、はんしん村のようすを かくれて見ることにしました。

「おいとり、そのみずうまいか?」
「…みずですね。」
「お~いしも~!!」
「はははははは」

『うらやましい』

つらいさんの中に、しっとの炎がまきおこります。

つらいさんは、じぶんの手が 火やくをにぎっていることに 気がつきました。

「ちくしょお…っ…おれのあにきかねもとと たのしそうにしやがって…」

…しかし、おなじこと(ほう火)を くりかえすなんてしんぽがない。
つらいさんは ほう火をなんとか思いとどまりました。

そう、いぜんのほう火で、じぶんの中のなにかが はじけてしまったのです。
そして、そのけっか みずからがたき火のたねに…

…つらいさんは ぶるぶるとくびをふり、いまわしききおくを ふりはらいました。

ほう火は、つらいさんなりの あいじょうひょうげんだったのです。

あいじょうひょうげん…だったのです!

つらいさんは、はたから見たら ストーカーのように見えるかもしれません。
が、もう かんぜんにキモヲタストーカー そのものでした。

ぶつぶつと なにかをつぶやきながら はんしん村をいったんはなれたつらいさんは、
もりからみょうなこえがモレルのをききました。

「のうみさいこうや!いがわなんてさいしょからいらんかったんや!」

のうみ…?いがわ…?

つらいさんはこえにちかづいてみました。

「ひろしま村あまやから もうこだましいをかんじる。」
あまや…ひろしま村じだいには すこしはなしたことがある…

いや、それより、もうこだましいだって!?

つらいさんにとっては たなからぼたもちでした。
なんというぎょうこう…っ!

「その話をもっときかせてくれ!」

そう言ってつらいさんがとびだした先には、き色とくろ色のしましまもよう。
それは、あのおそろしい とらとうのむれでした。

あっというまに とらとうにきっこうしばり にされたつらいさんに、
だんかんと名のる男がしつもんしました。

「なんやおまえ。名まえは?」

しかしつらいさんは、きっこうしばりにされていたので

「つらいです…」

といってしまったのでした。

するとだんかんに
「ほう、つらいか、へんななまえやな。」
と 言われてしまいました。
だんかんに言われたら おしまいな気がします。

つらいさんは、つらいじょうたいにおちいっていましたが、
なんとかがんばって、だんかんとやらにききました。
「もうこだましいとはなんなのですか?」

だんかんは「にやり」と げびたわらいをうかべてこたえます。
「もうこだましいは だれでもうまれつきもってるもんや。
 めざめるのが おそいかはやいかだけは あるけどな。」

つらいさんはないてよろこびました。
ないたせいで、「mizuno」とかかれた なぞのもようも ながれおちました。
じぶんにも「もうこだましい」があったなんて。

つらいさんは、こうふんぎみに まくしたてました。
「じゃあ…じゃあまた あにきかねも…はんしん村で くらせるんですね!?」
だんかんはつづけました。
「あせるなあせるな…。あんしんせぇ…。
 おまえもすぐに もうこだましいにめざめさせたる…。
 おい、あれをよういせぇ。」

そういうと、だんかんは ぶかにこなじょうのものを水にとかさせて、つらいさんにむりやりのませました。
のむすがたまで つらそうです。

もうこ水(仮)をのんだつらいさんは、
「びくんびくんっ…!!こんな水なんかでっ…!!くやしいっ!でももうこだましいかんじちゃうっ!!」
と、いみのわからないことをさけびながら ぜんしんけいれんをおこして きぜつしてしまいました。

そして、しげみのなかで、きっこうしばりのまま ほうちされてしまいました。
どこかでみたことがあるようなこうけいですが、きのせいでしょう。

めがさめたつらいさん。

ぐっと力をこめると、あれだけかたくしばっていたなわは、うつわのでかいあにきかねもとのように ぶちきれてしまいました。

むくりとおきあがったつらいさんは、
じぶんにしんじられない力が そなわっていることに気づきました。

口からはほのおが。
手からはどくガスが。
わきからはバラのかおりが。
足のうらからは コカコーラのにおいがします。

「Vやねん!!Vやねん!!(ちからがあふれてくる・・・)」

「Vやねん!!Vやねん!!(まっててね、あにきかねもと!!)」

そうさけびながら もりのおく…そう、はんしん村の方にきえていった…。

          お  し  ま  い

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最終更新:2009年10月25日 14:19
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