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探偵物語





題名:探偵物語
作者:小鷹信光
発行:幻冬舎文庫 1998.10.1 初刷
価格:\600




 ご存じ松田優作演じる工藤俊作の活躍するTVドラマ『探偵物語』の原案となる小説作品。作者の小鷹信光氏は数々の名翻訳で知られるハードボイルド作品翻訳家であると認識していたのだが、翻訳家が直接小説を書いてしまう例っていうのは珍しいのではないだろうか? 東江一紀とか村上春樹などは翻訳はやるけれど、どちらかと言えば作家が本業でしょう。小鷹さんといえばやはりあまりにハードボイルドの数々の名作の翻訳者という職業で知られている(有名になっている)気がしてしまうのだ。

 だからこの本を手に取ったときに、なんてまあ小説の上手い人なんだとぼくは驚いてしまった。とにかく文体がいいし、突っ張った探偵が徹底的に格好いいし、卑しき街の描写もツボを心得た名翻訳者の手になるだけにあって張り詰めた空気がびんびんに響くようでたまらない。

 なんともはや大人の作品なのであり、リチャード・スタークあたりを思い起こさせる文体のリズムも瞠目に値する。ハードボイルドの本質を知っている人でなければ表現できない味わいのようなものが、深く深く作中に染み透っている、まさに作者の愛情こもった一冊である。勿論ヒーローは松田優作そのままで想像しつつ読めてしまうところが便利このうえない。長い間、読めなかった幻の名作だけにファン垂涎の一冊!

(2001.01.02)