萬月療法


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作者:花村萬月
発行:双葉社 1999.9.5 初版
価格: \1,400

 『笑う萬月』に続くエッセイ集。大抵エッセイ集などはつまらないものと相場が決まっているのだが、ぼくは好きな作家のエッセイなら大抵は面白さ以上に作家への好奇心ということで読む。浅田次郎や花村萬月など、得意な経緯で作家になった人たちに関してはとりわけ興味本意で読む。不思議な作品を紡ぐ不思議な作家たちの現実生活には興味がある。

 そういう興味にけっこう理想的な形で答えてくれるから浅田次郎や花村萬月のエッセイは面白いのだと思う。片や万年筆派の浅田と片やワープロソフト+エディター派の花村対決はいつも面白い。浅田の情緒に対し花村の合理精神が楽しい。どちらも当代を代表する名うての書き手だけに、ぼくは楽しい。

 エッセイ中では『二進法の犬』中で深く取り入れられたコンピュータのディジタル世界のことにも触れている。もともとが旅行記の応募がきっかけで作家デビューを果たしたというだけに、相変わらず続いている野宿旅の顛末記もぼくはけっこう趣味的に合うので楽しい。

 『眠り猫』でしっかりと登場しているウサギのピロンちゃんがとうとう亡くなっちゃったというのも寂しい。父と母のことについてはエッセイでしかなかなか読めない。照れと恥をよく知る人だからこそエッセイが小説と違い滑らかに進まない。饒舌というにはほど遠い。ぼくはそういう感覚の方が、変にわかった風なまとまりの良いエッセイよりは格段に好きである。

(1999/12/26)