追跡原生林 北八ヶ岳72時間の壁 (「チェイス・ゲーム」へ改題)


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題名:追跡原生林 北八ヶ岳72時間の壁
作者:今野敏
発行:祥伝社ノン・ノヴェル 1994.4.30 初版
価格:\760(本体\738)




 うーん、面白いのである。このボディガード・シリーズ、惜しむらくは軽い、物足りないのである。というのももっと読みたい、って欲望を感じる故にそう思うのだ。なぜってこの作品は、北八ヶ岳を舞台にした元傭兵の旧友同士の対決、というシンプルな骨組みだから、すごいのである。ポロックの『樹海戦線』、ライアルの『もっとも危険なゲーム』などを心にとどめる読者には興味ある題材、としか言い様がないのだ。

 こういうのに惹かれて稲見一良は『ソー・ザップ』を書き、今野敏は『追跡原生林』を書いたのだろうなあ、とつくづく思ったりもする。作家の中にひそむ憧れが書かせる小説、オマージュではないのか、などと勝手に理解したりするのも、読者のわがままである (^^;)

 題名がいかにもノベルズ的で (ノベルズはよくタイトルを出版者側に変更させられちゃったりすると聴く・・・・)、 内容解説ぎみで、そういうところがワイドドラマに通じたりする日本マスコミのいやな感覚などいろいろ作品にとってかわいそうですらあると思う。このタイトルだけで買いやめちゃう人だっていると思うもの。

 と、題材がすごく、中身もよく、作者自身の格闘技人生が投影されていたりして、ぼくは好きなのだけど、一番いけないのは、いい話を心にいっぱい持っている小説家という職業に、ゆっくりした時間と経済的余裕とストレスを解消するさまざまな療法を与えてあげることのできない日本国出版事情なのであるよなあ、とつくづく思うぼくなのであった。

(1995.06.12)