バランスが肝心 ローレンス・ブロック傑作選 2



題名:バランスが肝心 ローレンス・ブロック傑作選 2
原題:LIKE A LAMB TO SLAUGHTER (1963-67,1973-84)
作者:LAWRENCE BLOCK
訳者:田口俊樹、宮脇孝雄、山本やよい、嵯峨静江、芹澤恵、和泉晶子
発行:ハヤカワ文庫HM 1993.7.31 初版
価格:\700(本体\680)

 ブロックの短編集ほど面白い短編集をぼくは知らない。短編と言えば日本小説が本家なのではないかと思えるほど短編で面白い作家は外国にはあまりいない。もちろんシャーロック・ホームズやヘミングウェイやジェイムズ・ジョイスなど古ーい人たちの場合は別である。でも『ミス・マガ』に掲載されるヴァクスの短編なんか読んでもなんら面白くない。短編と言って面白い作家といえばぼくが思い浮かべるのは国産の逢坂剛とか村上春樹くらいのものだった。

 それがこのブロックの短編に関して言えば目から鱗が落ちる思いがする。それほど短編がいちいち面白く、この作家って生活事情が許すなら短編専門の作家になっていたのではないかと思わせるほどであったりする。

 本作ではスカダー・シリーズの噂にだけ聞いていた『バックレディの死』も入っているし、短編のみのシリーズ主人公、悪徳弁護士のエイレングラフも二作。その他のショートショートに近いけど、とっても鋭い作品がいっぱい詰まっている。ぼくはあっという間に読んでしまった。

(1995/04/11)
最終更新:2007年06月28日 22:19