おかしなこと聞くね ローレンス・ブロック傑作集 1



題名:おかしなこと聞くね ローレンス・ブロック傑作集 1
原題:Sometimes They Bite (1964,1976,1977,1978,1980,1981,1983)
作者:Lawrence Block
訳者:田口俊樹・他訳
発行:ハヤカワ文庫HM 1992.12.15 初版
価格:\640(本体\621)

 ぐいぐい引き込まれるように読んでしまう短編小説っていうのも、あるものなんだ。例えばこの本がそう。短編小説っていうと、日本の場合、雑誌での単発読みものをある時期が来て一冊にまとめたものというのが普通で、しかもその雑誌の数の多さというのが作家のほとんどを「寡作」ということばから遠ざけて水増しにしている印象があるのだが、同じ雑誌連載でも、これだけ趣味を前面に出してのブロックの執筆経歴というのは、こうして短編集にまとめられると、非常に国産水増し短編集とは違ったものが感じられる。

 むしろ長編とは別のこういう世界をブロックは持っていたのだな、改めて再発見させられた気分である。ぼくはブロックは泥棒バーニー・シリーズは読んでいないのだが、そのバーニーがシリーズ開始前に短編に登場しているし、マット・スカダーもこの短編集において一作だけ登場している。アームストロングの店に入り浸っていた時期のエピソードだ。

 そして短編だけに組み込まれたシリーズ主人公というのがいるのだが、これがいい。 悪徳弁護士・エイレングラフ。 いや、 悪徳なんてものじゃないな、 これは(^^;) 裏を返せばハニバル・レクターみたいなものではないか。

 すべてがミステリーの領域にあって、すべてに秀逸なエンディングが待っている、けっこう一気読みの短編集であった。既にこの後二冊発刊されている後続の短編集も早く読まなきゃ!

(1994/12/15)