NIGHT HEAD








題名:NIGHT HEAD / 覚醒-邂逅-未来
作者:飯田譲治
発行:角川ホラー文庫 2001.6.10/7.25/9.10 初刷
価格:各\800

 元は6冊の本を2冊ずつ合本して計3冊。角川ホラー文庫入りしたとは言え、もしくはサイキック・ホラーと宣伝されているとは言え、ホラーか? 

 最初はとっつきやすく始まった身近なサイキックものかと思いきや、『覚醒』のあたりから少し『幻魔大戦』風の超意識レベルをしかけてきて、内容もどんどん説教臭くなる感じがしてくる。ラストに至ってはもうキリスト再臨に似たファンタジーものと言ったほうがいいような気がする。そのくらいぼくの好みからどんどん遠ざかる一方の作品であった。

 ただ三冊目『未来』は前半で物語がエンディングを迎え、残りは外伝を集めた中短編集となっていた。『Deep Forest』のタイトルを冠せられた、それら森の中の過去と現在の物語については、締まりがあり、かなり面白く読めた。

 深夜向けの連続ドラマになっているということからなのか、本編の方は水増しし過ぎたように見える。せっかくの粋なアイディアでスタートした『覚醒』の良さを、無理に伸ばしたことで薄めてしまった気がする。冒険小説としての醍醐味もふんだんに感じられていただけにもったいない書き方をしたものだ。

 深夜ドラマの方はともかく、劇場版の映画作品くらいはチェックしたいと思うのだが、期待はしていません。

(2001.03.18)
最終更新:2007年06月28日 00:56