コールドスリープ





題名:コールドスリープ
作者:飯田譲治/梓河人
発行:角川ホラー文庫 2002.11.10 1刷
価格:\600



 4編を集めた中短編集。表題の『コールドスリープ』以上に『破壊する男』『その愛は石より重いか』の方が、ぼくには印象的だったが、『コールドスリープ』は、何よりも短編映画集『Jam Films』の第一作として飯田譲治自らの監督で今月から全国ロードショー公開されるために表題作になったのであり、出版されたものだろう。

 ちなみに日本初のショートフィルムス・コラボレーション『Jam Films』のホームページはこちら → http://www.jam-films.com/ 予告編を見ることもできるので一応紹介しておこう。

 コールドスリープは文字通り冷凍睡眠状態での宇宙旅行を主題にしているのだが、当然飯田譲治プロジェクトはそうしたハードSF的題材を身近なところに引き寄せて平易にしてしまう表現方法を選択するから、SFという印象はあまりない。

 変わって『破壊する男』は悪魔教、呪い人形と、いわゆるマンション住まいの新妻を巻き込むストレートなホラーであり、皮肉な結末がそれらしい。

 ぼくの好きな作品は『その愛は石より重いか』であるが、こちらは梓河人の発案部分が多いものらしいことが巻末の両作者対談の中でわかる。二人競作作家の場合、こうしたあとがきというのは丁寧だし、両者の違いがある程度明確になって楽しく、気がきいた編集である。もっともサービス精神には事欠かぬ二人のこれも手の内なのかもしれないけれども。

(2002.12.15)