ブラック・ダリア



題名 ブラック・ダリア
原題 Black Dahlia (1987)
著者 ジェイムズ・エルロイ James Ellroy
訳者 吉野美恵子
発行 文春文庫 1994.3.10 初刷
価格 \690(本体\670)

 ううむ、凄い小説。こんな凄い小説を今まで放置して読まずにいた自分がとっても愚かに思えるくらいの、凄い小説。単細胞さんからぜひ読んでみて下さいと言われて、なんだか楽しみに取っておいた気分もあるんだけど、その期待全然裏切られませんでした。本当に圧倒されました。ヴァクスに圧倒されて以来、久々に圧倒されました。

 ただの警察捜査小説っていうのではないな、と感じたのは、まず事件に至るプロローグの長さ、ストーリー展開の奔放なまでの自由さ……。ロス暗黒史4部作の1作目とあって、史実に基づいた事件に現存した有名人たちの顔や名前が出てくるというのも驚いたけれど、多くの人間たちの情念や破滅をこれほどまでに追い続ける主人公の狂気にもくらくらと来てしまった。

 物語の残酷さにも、エピソードの多さ、伏線の複雑さにも、本当にいろいろな意味で圧倒されました。こんな作家は他にいない!
最終更新:2007年06月20日 00:04