永遠(とわ)の島




作者:花村萬月
発行:学習研究社 1993.9.20 初版
価格:\1,600(\1,553)

 花村萬月はもともとどこかぶっ飛んでいるのだけど、こういう風にぶっ飛ばれても困るなあというのがこの小説。花村萬月というのは、いわばジャンル度外視の作家なんだけど、ここまで破壊的であると、小説としての興味はあっても面白味はなくなるなあ、と感じさせられてしまうのが、この本なのであった。

 変な小説である。プロローグさえなければ、最初はバイク小説であるように見える。でも途中からこれは、そんな言葉はないと思うけど「物理学小説」になってしまう。そしていったいなんだ、この話はと思っている間にあっと驚く結末にすかされてしまうのだ。

 えーと、何に似ているかと言うと、「浦島太郎」に似ているなあ、この話。現代版竜宮城物語。なんでもありの小説であるから、ぼくの好きなハードボイルド系のストーリーからは遠く離れている。前回の『月の光』でも、いきなりのサイキック新興宗教小説というがいきなり過ぎて妙であったが、元はといえば宗教がかったもの、生と死を愛と暴力で埋めようと言ういつものテーマなどは、花村萬月の世界に必ずや潜んでいたものであったような気がする。

 この小説では『ゴッドブレイス物語』以来の母性をやはり一つの大テーマに掲げているように見えるけど、いつもの家族的なチーム物語はなりを潜めている。どちらかと言えば個人の存在への懐疑と、宇宙的な超意識へのイメージ (これが奇妙なイメージなんだけど) を、なんでもありの小説世界で具体化して、わけをわからなくしたものが本書である。

 昨日読んで今日感想をアップすることに際して少々心穏やかでないのだが、結末だけはもう少しきちんと読者を納得させる形にまとめろよなあ、と言いたくなった、さすがにぼくも。もしかしたら最後の方、作家がヤケになって終わらしちゃった……わけではないと思うけどなあ(^^;) 人を食うにも、ほどがある、と思うが。

(1993/09/30)