業火


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題名:業火
原題:Point Of Origin (1997)
作者:Patoricia Daniels Cornwell
訳者:相原真理子
発行:新潮文庫 1998.12.15 初版
価格:\857


 一方のシリーズでとても印象を落としたコーンウェルだったが、本来の検屍官シリーズに戻って再評価を問われることになるのが、この一冊。

 犯人がまたも過去からの蘇えりであり、またも脱獄かと思うと、仕掛けは二番煎じ三番煎じという気もしないではないが、実はぼくはこの作品シリーズ中のベストに入る面白さではないかと思う。

 ここのところずっと導入からぐいぐいくる面白さを売りにしていながら後半息切れの感がある本シリーズであったが この作品は最後の最後まで緊張感が途切れず、いい意味での疾走小説である。

 何せ、主要登場人物たちが軒並み狙われて、その毒牙は実は大変容赦ないものなのだ。死骸はこれ以上ないほどに破壊されているし、物語はこれ以上ないほどにケイ・スカーペッタを追い詰めてゆく。

 復讐鬼が完璧過ぎることと、ケイの立ち直りの早さが、少し現実離れしているように思えないこともないが、エンターテインメントに飢えた読者にとっては、こんなところでちょうど手頃であるのかもしれない。

 いずれにせよ、シリーズを読み始めた人、読み続けて途中で足踏みしている人にはぜひともここまでは辿り着いていただきたい。そうした到達目標に成り得るだけの超面白作品である。ケイ&ルーシーのアクション篇などは、これを逃すと当分味わえないのではないだろうか。

 ところで、せっかくのこの作品売れ行きはどうなのだろうか。もしかして前作からがくっと落ちてはいないだろうか。やはり『スズメバチの巣』が余計だった……などということはないのだろうか。作品の落差が今もって残念でならないのは、ぼくばかりでは決してあるまい。

(1999.03.07)