プリズンホテル





題名:プリズンホテル
作者:浅田次郎
発行:徳間書店 1993.2.28 初刷 1995.3.15 2刷
価格:\1,400

 ユーモア極道小説。声を出して笑っちゃう部分が随所にありながら、あくま小説のウマミを持っているところ、この作家の代表作として、売れまくっているというのも納得。浅田次郎未経験の方にはとりあえずこの一冊がオススメだろう。

 モデルになっているホテルは、谷川連峰山麓にある水上温泉あるいは湯桧曽温泉あたりであろうか。新幹線にも高速道路にも見捨てられた地味めの山懐の温泉ホテルに、様々ななしがらみを引きずった多種多様な人間たちが集まる。それだけでれだけ笑いと涙の両極を存分に行き来できる小説というのは、やはり美味しいのである。 

 屈折した小説家を主人公にしているものの、他の多くの浅田作品と同じように、群像小説と言ったほうが良いだろう。群像小説の見所は、多くの異なるキャラクターの描きっぷりにあると思われるが、このシリーズはその辺りにこそ真髄あり、である。

 ぜひご一読を!

(1996.07.07)
最終更新:2007年06月04日 23:33