プリズンホテル秋





題名:プリズンホテル秋
作者:浅田次郎
発行:徳間書店 1994.8.31 初刷 1995.4.20 5刷
価格:\1,700

 前作の雰囲気をそのままにさらに、極道ホテルに警察一行がご宿泊という、またもクレイジーな大設定に笑わせられる。二作目にしてこれは一作目を凌駕しているかもしれない。

 前作で突っ込みの足りなかった部分、小説家の屈折具合いと、プリズンホテルのその後の人間模様が、本作ではさらに劇的に影響しあってゆく。

 様々な世代の様々な純情や、ストレスがこのホテルに来て爆発し、日頃隠されている大小の葛藤がまな板に乗せられてしまう。そうか、こういう方法もあるな、と改めて思わせられる小説手法と、その表現力にただただ脱帽である。

(1996.07.07)
最終更新:2007年06月04日 23:31