薔薇盗人


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題名:薔薇盗人
作者:浅田次郎
発行:新潮社 2000.8.25 初版
価格:\1,500

 浅田次郎得意の短編集。どれもこれも色合いを変えて、タイトル通りにカラフルな作品集となっている。しかし内容的には今回は死や恋愛を扱ったものが多いような気がする。

 どの作品も同じ作者の長編作品のどこかの部分に良く似ているような気がするけれども、最近は長編でも短編でも口語・独白体が冴えているかもしれない。

 中でも『ひなまつり』はぼくは泣けた。昭和30年代の小学生の女の子が、母の元恋人であるおじさんと銭湯にゆくシーン。おじさんを「おとうさん」と呼ぶシーン。うわーん、泣けるぞ。大体この少女はぼくと同世代ではないか。昔、小学一年生の頃、ぼくは銭湯に一人でゆき、タオルに石鹸をつけられないでいた。見るに見かねてか、隣に座っていたやはり小学生の知らないお兄ちゃんが代わりに石鹸をタオルにすり込んでくれた。彼は一言も言葉をかわさないままに石鹸をつけて渡してくれた。その時の情景は幼い頃の思い出としてぼくはいつまでも忘れられない。

 銭湯では湯船に入るといろいろなおじさんに話しかけられた。当然入れ墨者にも話しかけられたが、そういう人は子供にとっては全然悪い人には見えなかった。今思えば銭湯というのはかけがえのない良い文化だったような気がする。過去形ではなく、れっきとしていまも存在する文化なのではあるけれど。

 こうして庶民のノスタルジーに訴えてくるところなども浅田文学の特徴なのだと思ってしまった。

(2001.03.18)