四十肩と恋愛 勇気凛凛ルリの色 2





題名:四十肩と恋愛 勇気凛凛ルリの色 2
作者:浅田次郎
発行:講談社 1997.1.20 初版 1998.2.10 5刷 
価格:\1,553

 先に三冊目を読んでしまった本シリーズ、これは一人の個人史でもあるから繋がっているのに、ストーリーの後のほうを先に読んでしまった感があって残念だった。書店に走り、時差を感じながらも二作目を手にして穴を埋めた。

 いろいろなエッセイ。悲喜。陽と陰。躁鬱の気のある作家の、二面性のあるエッセイ集。

 沖縄で米兵にレイプされた少女の無念に対する怒り、国家への怒り、そうした大きな作家的使命と、作家になったきっかけとなったある先輩との出逢い。浅田次郎という作家の過去も未来も見えてくるような一冊である。

 驚いたのは、浅田次郎は文章を読むのも書くのも非常に遅いということ。この本の一つのエッセイを書くのに3時間から5時間程度かかるという。普通の本でも5時間は最低かかるという。できあがったゲラの校正に大変集中力を要するということ。小説もエッセイも同じだけの遅筆で書かれるということ。

 なぜ浅田次郎という作家が、これほど魅力的な文章を作っているのかという秘密が覗けた気がする。ぼくはこの一文を書くのに、ちなみに5分しかかけていません。作家の素養はないですね、きっと……。

(1998.06.17)
最終更新:2007年06月04日 22:57