熱き血の誇り


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題名:熱き血の誇り
作者:逢坂剛
発行:新潮社 1999.10.20 初版
価格:\1,900

 逢坂標準ってところか? 長い分だけサービスが多いけれど、逢坂作品はサービス過剰くらいでちょうどいいかもしれない。

 一つ驚いたのは『静岡新聞』連載作品だということ。いわゆるローカル紙連載なのでそれらしきところが作中に感じられる。描写過剰と言わんくらいに静岡の自然、街を描いている。逢坂剛からサービス精神を取ったら逢坂じゃなくなる、というのがぼくの逢坂論なので、これはうなずける。

 タイトルから連想されるのはハードボイルドだけれど、逢坂にハードボイルド作品は似合わない。なんと「血」は仕掛けの一つとして使用されている。奇怪な医療ミステリーの匂い、産廃・医廃に絡む非合法組織、「エホバの証人」の輸血拒否など、社会的な背景を題材にして、強引にスペインの血や復讐までをも取り込んでしまい、それを日本の古い伝説や、「幻の*(ネタばれ)」という特殊地形などと結びつけてしまう。

 逢坂は強引な力技を得意とする純エンターテインメント作家だとつくづく思う。いくつもの社会背景やスペイン趣味を娯楽ネタにして、結局は逢坂マジックを演出してしまう。一ひねりや二ひねりどころではないひねりの醍醐味と、ストップできなくなる語り口のスピード感こそがこの作家の正しい味わいである。

 こんな偶然に頼っていいのか? と思われる読者側の疑問点にいちいち伏線を張っており、説明をつけてしまう点などはいつもの逢坂節だと思う。

 主人公たちが女性であり、その分刑事、やくざ、製薬会社その他が甘いこと、北朝鮮の工作者たちがだらしないこと、いろいろ大甘に思える点が許せないとなると逢坂マジックは楽しめないかもしれない。でも逢坂はハードボイルドではなく、やはりスリル満点のジェットコースター冒険小説だと、ぼくの場合、割り切って楽しんでしまうのである。

(2000.01.03)