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スナーク狩り




題名:スナーク狩り
作者:宮部みゆき
発行:光文社 カッパ・ノベルスハード 1992.6.10 初版
価格:\1,100(1,068)




 『火車』と較べるとだいぶボリューム感が見劣りするけれど、質感という意味では全然遅れを取っていない。むしろその分質的に時間的に内容の詰まった作品であるから、一ページ開いたらまあ、時間の許す限り最後まで読んでしまうタイプの作品と言える。佐々木譲『真夜中の遠い彼方』と同じく、僅か一夜の物語なので、その手の疾走ストーリーに揺すぶられたい方には最適な一冊だと思うし、何か用事があるなら他の本を選んだほうがいいとまで思っちゃう。

 宮部みゆきのぼくにとっての二冊目なのだけど、安心しました。この作品はとても面白くとてもサスペンスフルでとてもドラマチックで、なかなかのキャラクター陣なんだけど、普通ならぼくでもそこ止まり。けれど、この作品はその上に涙腺を刺激してくるような何かがあるのです。

 正直言って、本でも映画でも犬と子供のストーリーには弱いんだけど(^^;) 、ぼくの場合、この作品で最も感情が込み上げちゃったのは子供の部分であった。銃のトリックに関しては下調べてしているようですが、ラスト・シーンはどうなんだろう。ああいうどんでん返しは本当にあるのかな、とちょいと疑ってしまった。

 トンネルでぶつ切りになるラジオ・ニュースというのは、その地形的なところもよく知っているぼくにはなかなかの仕掛けであり、そういう細かいところを丹念に取り込める作家である点でも十分安心できると感じた。『火車』の<静>と、この作品の<動>とをうまく使い分けてくれるところもなかなか嬉しいのである。

(1992.7.31)