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盗聴された情事


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題名:盗聴された情事
原題:Criminal Conversation (1994)
作者:Ed Mcbain
訳者:田村隆一
発行:新潮文庫 1995.10.1 初版
価格:\800

 これまたストーリーはシンプルなんだけど、これをいかにマクベインらしい筆使いで描き込んで行くかという職人技の作品であると思う。

 ぼくとしてはいくつか興味深く思った点があったのだが、第一に新潮文庫でエド・マクって、とっても珍しい気がするのと、訳者の田村隆一ってぼくは個人的には現代詩の書き手ってことでよく知っていて、こういうミステリーの翻訳者の顔があるっていうのはけっこう驚いてしまった。ミステリー翻訳は今に始まったことじゃなさそうだから、こちらの見落としもあったかもしれない。いずれにせよ翻訳は巧いぞ。

 マクベインの特徴は、流れるようなテンポの良い会話体だと思っているけど、これもそういうページが多くって、こういうところってかなり翻訳者によって良くなったり壊れたりするものではないかと思う。最近個人的にあまり好きじゃない井上一夫さんという翻訳者が(クレイグ・トーマスの『モスクワを占領せよ』も確かこの人だったと思う)87分署の翻訳を独占しちゃっているのが残念だったのだが、そう、これだよ、こういうテンポだよ、とばかりにけっこう喜んでマクベイン節にひさびさに酔えたのは嬉しかった。田村さん、さすが現代詩人です。

 さてストーリーのほうはマクベインならこの程度は当たり前とばかりの、それなりの味わい、それなりの楽しさ、それなりの皮肉と問題の多さであったように思う。根っからのエド・マク・ファンにはクリアしておいて欲しい一冊である。

(1996.02.03)