キャンディーランド




題名:キャンディーランド
原題:Ten Plus One (1963)
著者:エヴァン・ハンター/エド・マクベイン Evan Hunter/Ed McBain
訳者:山本 博
発行:早川書房 2001/10/31 初版
価格:\1900


 エヴァン・ハンターとエド・マクベインの二つのペンネームを敢えて使ったダブル・ジャンル作品である『キャンディーランド』。まず本の作りが凝っていて、表紙が裏表にある。どちらからでも読める設計になっている。ちょうど中央部で折り返しているため、一つの中編を読み終わったら、今度は本を逆さまに持って反対方向からもう一方の中編に取り掛からねばならない。編集後記はだから本の真中あたりのページに、それも二通りちゃんとあったりする。

 もともと都会の病弊を描くと上手い作家。ハンターは、性に取り憑かれた出張男の一夜の悲喜劇を描き、マクベインはその朝に発見された死体から警察捜査を始める。まるで先の物語は別の世界であるかのように、全く違った性質のストーリーが次元を異にして、同じ時空間でスタートするかのような印象。

 全くこの作家の遊び心は愉快なんだが、如何せん、味はあるのだけれど、娯楽作品としては決定的に面白くない。中編であることもあるし、無理やり二つのジャンルに跨がらせたこともある。遊びに昂じ過ぎて、本編が単調になってしまった。仕方がないと見ることもできるし、普通に書けばいいのにと思える一面もある。二つの名前を持つ作家のパラドックスである。

(2002.01.05)