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ノクターン




題名:ノクターン
原題:Nocturne (1997)
著者:エド・マクベイン Ed McBain
訳者:高橋泰邦
発行:ハヤカワ・ミステリ 2000.5.31初版
価格:\1,100

 今年は<87分署>シリーズの50作刊行を記念して早川書房はエド・マクベイン・イヤー! という企画を実施している。

 この作品を皮切りに7月、11月とシリーズの翻訳出版が連続する。ホープ弁護士シリーズの方も、最終作が11月発売になるのだが、こちら<87分署>といえばこの人と言われる日本での研究家・直井明による<87分署>読本まで出版される。

 娯楽小説に徹したペーパーバック・ライター=エド・マクベインの職人的サービス精神が出版社までをも巻き込んで、読者へのファンサービスを行なってくれているようにも見える。それがマクベイン(七十代)の凄いところで、ぼくはいつもそうした地道なエンターテインメントを追求する仕事ぶりにひたすら敬服している。

 さて、本書であるが、どこか初期のころのシリーズを思い出させる。あの時代の軽妙洒脱さ。犯罪の不気味で残酷で、空しく、乾ききった性格。刑事という職業の宿命性。そうした初期の頃に見られたシリーズの特徴のすべてが、あの頃の馨りが、なぜか半世紀という時間を経て回帰して来たような、なぜか懐かしさでいっぱいの文体。あのリズム。それだけでじーんと来るのは感傷だとわかっていながらも……。

 1956年に始まり、ぼくの年齢と一緒に歳を取って来たこのシリーズ。いつ読んでもその魅力は変らないままである。

(2000.11.04)