死にざまを見ろ


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題名:死にざまを見ろ
原題:See Them Die (1960)
著者:エド・マクベイン Ed McBain
訳者:加島祥造
発行:ハヤカワ文庫HM 1978.11.30 1刷

 マクベインはまたも手を変えてきた。何とも戯曲風の作品に仕上げてきたのだ。なぜなら、作品のほとんどの展開がある特定された街角でなされてゆくからだ。ここからストーリーが離れることは滅多にない。離れてもすぐにここに戻ってくる。そして全体のストーリーは、早朝から昼くらいまでの実にわずか数時間。これは戯曲やシナリオに展開しやすいだろうな、と思われる。街角に起こった大騒動の物語なのだ。

 フランキー・ヘルナンデスというプエルトリコ出身の刑事が数作前から登場していた。その意味あいがやっとこの作品において明らかにされてゆく。この作品では、フランキーこそが主役だ。フランキーに対抗する役として、これも最近出始めているアンディ・パーカー刑事。この二人の確執が、プエルト・リコ人の犯罪者をめぐり、張りつめてゆく。ヒスパニックの街角。

 これは<87分署>版『カラーズ~天使の消えた街』だ。ただしこの作品は他の<87分署>シリーズと同じようにどこか優しいし、天使が消えることもない。そして例によっていつもの<87分署>シリーズと同じように非情で、大切な命の火が消えてゆく。七月。熱波の街角。

 そう言えば赴任以来あんなにも出ずっぱりだったコットン・ホースの姿を最近見かけない。キャッスルビウ刑務所との関わりはどうなったのだろう。彼はどこで何をやっているんだろう。ぼくの87分署体験はまだまだ浅い。

(1990.06.02)
最終更新:2022年01月22日 21:27