ブラックライト



題名:ブラックライト 上/下
原題:Black Light (1996)
作者:Stephen Hunter
訳者:公手成幸
発行:扶桑社ミステリー 1998.5.30 初版
価格:各\667

 前作『ダーティホワイトボーイズ』は本シリーズの言わば「外伝」だった。前作を引き継ぐ形でその係累たちがこの物語を走り出させる。アーカンソーの荒野に時間軸を前後させながら。

 骨太のドラマ、現代の西部劇、男対男の一騎討ち。それが『ダーティホワイトボーイズ』だったけれど、これは全く違った物語。よりスケールアップさせた、本来のシリーズ主人公であるスナイパーの死闘を描く巨大アクション劇である。

 今どき、これほど銃弾が唸る小説というのは、エルロイくらいなものだと思い込んでいたが、そんな断言を思い切り訂正させねばならないほど、こちらはサービス満点、しかも、これは前作を交えての4部作の3作目なのだと言う。1作目4作目は近刊予定(それぞれ新潮、扶桑社ミステリー)なのだと言う。そしてこのシリーズは銃器にこだわったシリーズなのだとも言う。

 なるほど、作者の武器オタクぶりは、この『ブラックライト』でも遺憾なく発揮されており、これらの活躍する場は、深い森の中。こいつは、まるで『もっとも危険なゲーム』だ。うーむ。

 今年の年間ベストは『アメリカン・タブロイド』と決めていたのだけど、これは迷う。その嬉しさ。今年もさらに巨大に炸裂してしまったハンター。硝煙の臭い、薬莢の舞踏に酔いたい方、それのみならず、あくまで人間臭い男たちの人間臭い闘いを身近に味わいたい方に激しくオススメしたいストロング・ドリンクである。

(1998.08.08)