東 直己


 すすきの便利屋、あるいはすすきの探偵、何でも屋、<おれ>という一人称でしか自分を語らないくせに、主義主張だけは頑固に貫き、卑しき街を闊歩する。海外小説の読者を軽く引っ張り込む、日本離れしたハードボイルドのコアにこだわる立脚点。日本の端っこの街札幌すすきのから発信する、探偵のへらず口。豪華で忘れがたい脇役陣を抱えて、素晴らしくピュアな落ちこぼれ探偵の生きざまを描く、国産小説ぴか一の痛快とペーソスとがここにある。
 大人の職業探偵・畝原シリーズ、ヒットマン榊原のシリーズと、すべて札幌を舞台にして、東直己世界は裾野を広げている。決して有名な作家ではないかもしれない。しかし強固でかたくなな読者を掴み、離さないでいるのだと思う。深く、濃い、ファンの、ぼくもその一人である。

すすきの便利屋シリーズ



探偵・畝原シリーズ



榊原健三シリーズ



ススキノ、ハーフボイルドシリーズ



ノン・シリーズ



短編集



連作短編集



エッセイ


最終更新:2012年04月09日 00:18