ミレニアム



題名:ミレニアム
著者:永井するみ
発行:双葉社 1999.3.10 初版
価格:\1,800

 Y2K問題を中心に据えたミステリーなので、今日が読書期限ぎりぎりかなと思い、スケジュール通り今さっき読み終えたのだけど、Y2K対策で自宅待機扱いのぼくとしてはなかなかそれなりにスリリングな一冊であった。

 携帯の電源を21:00でOnし、明日の14:00までは回線を空けておく。何もなければ。

 しかし何かあった場合、問い合わせ電話に答えたり、用件を他の待機者に回したりと落ち着いて酒を飲んでいるわけにもいかない、というのが今年の今日、大晦日の特別事情なのである。もっともオフィスに泊まり込んでいるスタッフを思えば、自宅待機はまだいい。出かけていってどうにかになるというものでもないので、最低限の回答を顧客に返してゆくことがぼくの作業である。

 そんなことがこれから二時間弱の後に起こり始めるのかどうか、今はただ黙して待つのみ。ウィルスバスターの最新アップグレードも済ませたけれど、2000年に向けて相当気合の入ったウイルスが開発されるとの噂もあり、そちらの方面も心配である。

 コンピューターの誤作動プラス、ウィルス、ブービー・トラップなど予想されるあらゆる電子災害と戦う人々の姿を描いて、いつもの主人公側の個人的事情のほうは少し書き込み不足で感情移入できなかったけれども、さすがに安定感のある作者。『枯れ蔵』『樹縛』のほうが作品内容としては高いけれども、今、読むということに価値がある。

 そして2000年を無事に迎えたときに読んでもまだまだ怖いかな? ネタばれになるのでこれ以上は言わないけれど、リアル・ミステリーとして隣り合わせのスリルを提供してくれること間違いなしの作品である。2000年6月いっぱいくらいまでが賞味期限!

(1999.12.31)
最終更新:2007年03月27日 19:47