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樹縛


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題名:樹縛
作者:永井するみ
発行:新潮ミステリー倶楽部 1998.4.20 初版
価格:\1,700

 12年前の白骨死体が2体。杉の樹木の根元。秋田、東京新木場を結ぶ製材業界。環境汚染であるシックハウス症候群。そして情念。

 巧い作家である。一作目『枯れ蔵』でもその力量をいかんなく発揮した作者が二作目では樹木を題材に、またも大きなテーマに挑んだ。

 快いのは、描写の落ち着き、生硬で歯切れのいいテンポと、誠実な作風。そして意気込み。

 二つの自殺死体に『ゼロの焦点』を想起させられたのも、松本清張の正当な後継者の香気があるからだ。主題は地味かもしれない。でも、心に傷を負う二人の主人公の中で優しさも殺意も、とても人間らしく生き生きと息吹いて見える。これだけ大人の感覚で描いてくれる作家はそれなりに貴重である。

 高村薫のような目立ちもなく、宮部みゆきのような話題性もなく、あくまで地味な社会派ミステリー作家。堅実な娯楽小説が読みたい方に、ぜひ手にとっていただきたい本である。

(1998.08.08)