秋の花火


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題名:秋の花火
作者:篠田節子
発行:文藝春秋 2004.07.10 初版
価格:\1,619

 秀逸な短編集だと思う。一つ一つが独立した作品であるばかりではなく、独特の個性に切り取られ、篠田節子という作家の多面性をよくぞ出していると感心もする。篠田ファンは是非とも手にとって頂きたいし、篠田節子って誰? って思われている方には、この作品集を入門編として試食してみては如何かと思う。

 篠田節子作品のジャンルを分類すると、ホラー、音楽など芸術家小説、女の自立小説、異国での革命巻き込まれ小説、『ゴサインタン』など文明史観的視点で描かれた作品群などがあって、これらの要素が微妙にカクテルされていることが多い。

 本書でも、『観覧車』『灯油の尽きるとき』などは女性の自立小説的色合いが強く、『ソリスト』『秋の花火』は芸術家ものでありながら、『ソリスト』はホラー的要素も混じり込む。『戦争の鴨たち』はアフガニスタンの革命を利用しようとするジャーナリストたちが巻き込まれるコンゲームといった楽しい作品に仕上がっている。

 一貫性のないこれらの作品集だからこそ、篠田節子なのであり、短編集であっても、少しも飽きのこないラインナップと、目先の変化にどきどきしつつ、次の作品へとページをめくる手が止まらない。

 女性小説のイメージを持ちながら、老若男女を問わず読者を獲得してゆくこの作家の作風が頼もしい。そして何よりも年々円熟味を増している筆力に脱帽、といったところである。

(2004.09.05)