神鳥(イビス)



題名:神鳥(イビス)
作者:篠田節子
発行:集英社 1993.8.25 初版
価格:\1,400(本体\1,359)

 今、絶滅に貧している朱鷺を題材に、明治時代の画家の朱鷺の絵の謎を、作家、イラストレCターコンモェ追跡するニいう、少し『聖域』の構図に似た過去の人物の追跡調査ドラマである。ぼくは『聖域』よりはこちらの方が好きなんだけど、現実との兼合いということを重視するなら『聖域』、ホラー的要素でややストーリーが子供地味てきても、なおかつ面白さを選ぶ・・・・ というなら『神鳥 (イビス)』ということか。

 またもう一つこちらの作品の方が・・・・ とぼくがいうのは、心に妥協を秘めて生きてきた主人公らの再生を賭けた戦いにもなっているヒューマンな点。いつも篠田節子の話は人生とか文明とか死といった大きなテーマに収斂されてゆくのだけど、この作品はそういう意味でも非常にうまくコンパクトにまとまっているような気がした。

 とにかく手に取ったら一気読みのページターナーである。篠田節子はそういう作品を書き続けているみたいなので、非常に気になる作家と言えます。

(1995.04.27)
最終更新:2007年02月07日 23:08