ブルー・ハネムーン



題名:ブルー・ハネムーン
作者:篠田節子
発行:光文社カッパ・ノベルス 1991.12.25 初版
価格:\730(本体\709)

 デビュー作の冷たく硬質な世界とは一変して、コミカルで陽気な面を全面に出した楽しい作品がこちら。驚いたことに美貌の娘を主人公とする、洒落たコンゲーム・ミステリー。これだけ読むとまるで別の作家の作品のよう、かもしれない。

 それだけに軽い感じがするのは否めないが、よくまとまって良く練られたプロットを楽しそうに書き上げた作品だなあ、と思う。できのいい作家がノベルスに向かうときの、いわゆる正しい姿勢であるような気がする。ブロックが暗く重みのあるスカダー・シリーズから離れて、楽しそうな短編に向かった時と同じような、愉快なムードと才気を感じさせる一冊だと思う。

 これだけは書店で見つけました。一応、手元の篠田節子作品はこれで品切れ。彼女の他の作品を探しにかかろうと思う。

(1995.05.02)
最終更新:2007年02月07日 22:58