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悪党たちのジャムセッション


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題名:悪党たちのジャムセッション
原題:Nobody's Perfect (1977)
作者:ドナルド・E・ウエストレイク Donald E. Westlake
訳者:沢川 進
発行:角川文庫 1983.5.10 初版 1998.5.25 改版初版
価格:\880

 ドートマンダー・シリーズ第4作。これは1977年の作品だが、別名義で続けているもう一つのシリーズ『悪党パーカー』のように永い中断期間もなく、未だに新作が発表され続けていることがある意味奇跡的でもある。

 というのは、ドートマンダーにしても、パーカーにしても、非常にシンプルな設定で、しかもその設定には決定的なほどに縛りが多いからだ。よくぞここまで連続してこの縛りの中で手を変え品を変え、新作を書いてゆけるものだと、そのアイディア力、筆力、ひねり力といったところに、とにかく呆れ、同時に大変な驚愕を感じる。

 簡単に言えばどちらのシリーズも盗みのプロフェッショナルの話である。しかしパーカーはクールな成功者、ドートマンダーは不運な失敗者である。ドートマンダーは一作中何度も何度も失敗しなければならないというシリーズ使命を帯びた、いわば短編小説集のようなアイディア・コレクションでもある。パーカーというシンプルな設定と、ドートマンダーという連射的設定とのこの両極を、何年、何十年と、描いて、描いて、なおも描き続けているこの作家をこそ、プロと呼ばないでどう呼ぼう。

 さて本書だが、またも新趣向ネタである。新趣向であること自体にもいちいち驚きを感じるが、毎作ごとに喧嘩をしているドートマンダーとケルプの関係が切れずに続いていることにも驚きを通り越し、呆れてしまう。よくぞここまでこのネタをこの関係を引っ張り、新趣向であらねばならぬという難関をクリアしてまでシリーズにこだわってゆくものだ。

 本作では珍しくケルプ抜きでドートマンダー主体でスタートする作戦でありながら、厄病神ケルプがやはり中途から絡んできてしまい、そして結果はケルプのせいではないのだが、案の定期待した通りである。

 さらに新しい仲間として凶悪ゴリラ・キャラのタイニー・ブルチャーの存在が強烈だ。今後どのくらいチームに破壊を及ぼすのか底知れないものを感じる。

 同じミッションを繰り返すのではなく、章ごとに違う展開となる本書の魅力は、殺し屋レオ・ゼーンの存在感抜きに語ることができないだろう。冷え冷えとクールで、プロ。これまた再登場願いたいキャラである。

 スラップスティックな70年代の泥棒たちの物語を、とてもプリミティブなギャグで(ラストはまるで映画『ピンクの豹』そのものではないか)、笑い飛ばしてくれる痛快なる怪作ここに極まる。

(2007/01/03)