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その雪と血を



題名:その雪と血を
原題:Blood On Snow (2014)
作者:ジョー・ネスボ Jo Nesbø
訳者:鈴木恵
発行:ハヤカワ・ミステリ 2016.10.15 初版
価格:\1,400-



 翻訳ミステリの多国籍化がすっかり歓迎ムードになっている昨今。英米の小説よりももしかしたら売れ行きがいいのではないか、とさえ思わせる北欧ミステリの世界的な台頭はやはり目立つ。

 その中でも異色の作家ジョー・ネスボ。主人公の個性を大切にする傾向が強い北欧作家の中でも、強烈なオリジナリティを持たせるジョー・ネスボ。本作はネスボらしからぬ薄い一冊で、中編と呼んでも過言ではないほどの<ポケミス>ぶりだ。

 そして数多くのパルプノワールが傑作を生み出してきたように、作品の長さではなく、詩のように語られ、詩のように生き、詩のように死んでゆく薄手の作品は、今日も、いつの世でも、どこの地でも好まれる傾向にあると思う。

 抒情溢れるクリスマス・ストーリー。救いようのない人生の中で、主人公の殺し屋家業の青年が夢見、恋をした。一瞬の出会いとさえ呼べない出会いが、人生を決定づける。

 悲しくも美しいラブストーリー。行き場のないメルヘン。苦しく不器用の連続であった人生に手向けられた花束のような一篇。素敵で胸の衝かれるこの作品に、是非とも酔い痴れて頂きたい。

(2017.1.8)