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探偵の鑑定 II




題名:探偵の鑑定 II
著者:松岡圭祐
発行:講談社文庫 2016.4.15 初版
価格:\680-




 松岡圭祐の作品を読みやめてしまったのは、確か千里眼シリーズの途中。

 最初は『催眠』から始まって人間の心理を読んだり操ったりすることの面白さに重心があったはずが、国際レベルの陰謀ものといった題材の巨大化と活劇がメインになってしまったことと、いくら何でも風呂敷を大きく広げすぎだろうという、やり過ぎ感が鼻に着くようになったから。

 その後、『水鏡推理』の水鏡瑞希シリーズが、専門職でもなく事務職という立場にありながら、裏を暴く勘の良さで、なんだか初心に戻ったのかなとの思いがして、ここのところTVドラマでブームにもなった『探偵の探偵』にも興味を覚える。

 本書は、そんな個人単位での物語に帰って行った松岡ワールドが、それぞれのシリーズで創り出したヒロインの個性や魅力を生かしつつ集大成として、ある世界からある世界に渡ろうとするマイルストーンみたいな立ち位置にある作品なのかなと思う。

 クライマックスを活劇とスケール感で演出したのも、探偵と鑑定士の最後の物語を祭りとして盛り上げたかったのかな、との意図が読めそうで、次なるディケイドへの景気づけの花火のような予感も感じさせる。

 『探偵の鑑定』という二作一作作品の独立した読み物としてではなく、松岡圭祐というエンターテインメント世界の区切りとして読み解くと、結構重要な立ち位置を持つ作品のように見えてきそうだ。

 開いた世界をきちんとした形で閉じて終わらせるということもクリエイターの責務であるように思われる。

 この作家の新旧読者にとっては、いずれにせよ転機となる作品として読了しておくよう是非お勧めしたい。

(2016.5.14)