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高空の標的


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題名:高空の標的(上・下)
原題:The Last Raven (1990)
作者:クレイグ・トーマス Craig Thomas
訳者:田村源二
発行:新潮文庫 1990.1.25 初版
価格:上\560(\544)下\600(\583)


 さて『闇の奥へ』以来アフガン方面にすっかり姿を眩ましていたハイド、衝撃の再登場である。本当に出だしがサスペンス満載で、話が例によって大がかりで、すぐにトーマス・ワールドに引き込まれちゃうのは、いつものパターン。

 しかしもう、絶対許せないなあ、こんな題名。新潮社ってクライブ・カッスラーの本といい、なんちゅう趣味の悪い題名ばっかりつけるんであろうか? カドカワ版の『モスクワを占領せよ』以来のひどいタイトルだと思う、本書は。「最後の鴉」でいいと思うんだよなあ、とりわけ動物入りタイトルに個性を見せているクレイグ・トーマスなんだから。

 という不満をぶちまけながら本書を読んだのだが、ハイドは『闇の奥へ』以来性格的にとてもぎすぎすして来ており、それが特殊任務の過酷さでそうなっているのがよくわかり、このあたりぼくは大変気に入っている。『ジェイド・タイガー』でオーストラリアあたいにオーブリーと同行していたハイドとはもう全然別人、だということにトーマスも気づいてはいるんだろうに (^^;)

 また先日のオフで単細胞さんが「まるでラドラム」と言っておりましたが、うん、ぼくの印象は全然違いましたとだけ、申し添えておきます (^^;)。やはりアメリカ的な個人主義のラドラムに較べ、ハイドはもう少しプロ意識のある個人であり、オーブリーはやはり重傷の諜報中毒者であると思う。彼らは十分に病んでおり、この辺を大変健康的にサスペンスだけって感じで盛り上げるラドラムとは、ちょいとひねり方とか陰影の濃さの部分でやはり国籍の差など、ぼくは感じてしまうのでした。

 そしていつまでも変わらない、過酷な自然や迫り来る時間のリミットを十分に使いこなしたクレイグ・トーマスのサスペンスって、ぼくはやはり対自分自身の要素を多く含む個人の闘いとしてかなり上等のものであるように感じています。

 このラストはもう一遍の作品たることを拒否したような中途半端な一行で終わる。テレビ画面などで見る「つづく」という文字が目に浮かぶようなラスト・シーンである。 この後 2 作ばかりハイドものが続くらしいので、やはりみんな『レパード……』あたりから順に読んで行った方がいいかもしれないですね。

(1993.02.01)