ストレート・レザー



題名:ストレート・レザー
原題:Straight Razor(1995)
作者:ハロルド・ジャフィ Harold Jaffe
訳者:今村楯夫
発行:新潮社 2000.7.30 初版
価格:\1,400


 オフ・ビートどころではない。完璧にシュールでぶっ飛んだ短編小説集。「スーパーBAD短編集」という売りなのだから仕方がないのだけれども……。新潮社はチャールズ・ブコウスキー以来、こういう冒険じみた本を出すことを躊躇わなくなって来ているのだろうか。

 どちらかと言うと日本語版ハードカバーは、C・ブコウスキーの『パルプ』みたいなカバー(つまりアメリカン・コミックみたいな)なんだけど、原書はモノクロの渋い雰囲気である。作者は先鋭的文芸誌"Fiction International"の編集長も勤めているのだそうだ。なるほど。

 小説破壊みたいな文体というと、だれもがブコウスキーを想起するかもしれないけれど、これはそんな生やさしい作品集ではない。ある種の文明批判、文化批判とでも言うつもりなのだろうか。ぼくにはとことんわからない。小説すらも批判されているのかもしれない。頭がおかしくなるような前衛的な本であっただけ、少し楽しめたというのが
正直なところである。

(2000.11.04)
最終更新:2013年04月30日 17:39