ファイアフォックス




題名:ファイアフォックス
原題:Firefox (1977)
著者:クレイグ・トーマス Craig Thomas
訳者:広瀬順弘
発行:ハヤカワ文庫NV 1986.12.31 初版 1991.2.28 7刷
価格:\600(本体\583)


 年内のクレイグ・トーマス全読破を内心決意し、ちょうどまた『ファイアフォックス・ダウン』の文庫化がなされたばかりということもあり、『ラット・トラップ』に続く二作目に取りかかった。ちなみにぼくは文芸座で『ブレード・ランナー』との二本立てで映画化作品を先に観ているので、大方のあらすじは前もって知っている。要するにネタバレ状態で、読み始めたというハンディつきの本なのである。しかし大方の名作と呼ばれる本がそうであるようにこの作品もネタバレとは関係なく小説そのものが楽しめたことは言うまでもない。

 最初はきゃしゃな主人公であるという描写なので、C・イーストウッドの抑えた演技を記憶していたぼくは、最初に戸惑わされた。だってイーストウッドと言えば長身足長が魅力ではないか。とりあえずここでイーストウッドのイメージをかなぐり捨てることにしたが、映画でも見られたた暗く重たい潜入行がほとんどそのままのイメージで、小説世界でも広がっているのを知って、興味は尽きず。ストーリーはよく知っているのだが、それでもシーンの食い違いなどもチェックしながら読み薦めた。

 ラストは映画を見ていたせいか、イメージの方法が容易で助かったような気がした。映画の特撮シーンは大したものだったから、小説でのフライト・シーンも実に色彩豊かで、はらはらどきどきの読書を楽しむことができたのだ。この作品はやはり小説も映画も味わうことをお薦めします。映画の方もまずまずのできだと思うので。

 そしてラストの爽快感は、それまでがサスペンスの連続であっただけに、たまらないものがある。航空冒険小説特有のイメージの広がりを味わいたい方には打ってつけの一冊ではないだろうか? そして最後に、噂に違わず超弩級の冒険エンターテインメント作品であることを確約しておきます。

(1991.09.15)