ガール・ミーツ・ガール





題名:ガール・ミーツ・ガール
作者:誉田哲也
発行:光文社 2009.04.25 初版
価格:\1,400



 『武士道シックスティーン』とそれに続く『武士道セヴンティーン』で少女小説作家、というイメージしかきっと知らない読者をいっぱい獲得したのではないか、とぼくは密かに心配しているのだが、その心配を立証するように、ついに古い少女ミステリ小説であった『疾風ガール』の続編が、より少女小説的体裁を纏って、しかも内容までミステリのミの字すら見当たらないほどに、すっかり少女小説となって登場してしまった。

 もともと最初はホラー作家であったところが、すっかりミステリ作家として定着しつつあったところ、なんにしてもまるで女流作家ででもあるが如く、ほとんどの小説が女性を主人公に据えた親しみやすい作風である。どのヒロインも魅力的で、なおかつ複数ヒロイン制という構図も彼の得意とするところである。

 その複数ヒロイン制をミステリから普通青春小説といったところに落として相当に成功したのじゃないかと思われるのが、先に挙げた『武士道……』シリーズなのである。ちなみにぼくは、少女ロッカー小説である『疾風ガール』のヒロインに逸早くハートを射止められており、その続編と知らずに本書を買った経緯がある。

 本書はもともとは雑誌連載時は『疾風ガール2』とかいうタイトルだったらしい。『疾風ガール』が、まだどうにか片足だけでもミステリというジャンルにかかっていたのに較べ、この続編の方は、『武士道』シリーズと同様、作者が実に楽しそうに小説を楽しんで書いているという印象がある。いまどきの少女の口語体といった砕けた文体で、笑いを余儀なくされるような快テンポ。

 元来、女二人を向かい合わせてそのコントラストを楽しんで書くというスタイルの多い作家なので、前作『疾風ガール』のように単独で、仲間の自殺の謎を追うといった平凡なストーリーよりも、この作品みたいに性格の真逆な少女二人が葛藤の中で次第に心を許してゆくというようなデリケートは話は、へたな男女の恋愛小説よりもずっとずっと誉田節が聞いていると思う。現在のリアルタイムな青春小説と言えるように思うし、少女たちが、背伸びしてセックスに血道をあげるのではなく、武士道やロックといった男勝り部門に傾注している純な姿というのは、誰しもがある若き時期を思えば共感できるところがあるのじゃないか。

 本シリーズでは、少女のロック趣味が、がけっこう時代がかっている。いわゆるウッドストック時代のヘビーなジャンル好みみたいなので、なぜか現実にそういう好みである大好きなSuperflyを思い浮かべながら読んでしまった。

 ちなみに『疾風ガール』のカバーは中ノ森バンドの写真画像だったけれど、今回は恥ずかしくもコミックキャラなので、通勤電車の中で読むには少し恥ずかし過ぎるのであった。

(2009/06/14)