鷲は飛び立った



題名:鷲は飛び立った
原題:THE EAGLE HAS FLOWN ,1991
作者:JACK HIGGINS
訳者:菊池光
発行:早川書房 1992.7.15 発行
価格:\1,900(本体\1,845)

 まあ、 おおよその『鷲……』の読者はこんなものには期待してはいけないわけで (^^;) ぼく自身過去の『鷲……』を陵駕する作品がヒギンズに書けるとはもう思っていない、 という点でも、多くのヒギンズ・ファンと同感である。 そういう彼が書いたのだから、まあ<余興>でしょう、この作品は。 ぼくはプロレスが好きなんだけど(いきなり話が飛ぶようですが(^^;))、ある程度仕掛けがわかっていてもそのへんを逆に怒らないで楽しむ方法というのに精通していないと、 プロレスというものはいつまで経ってもつまらない。 「遊び」の感覚を積極的に使うかどうかは、ぼくはその人の器量の問題だとまで思っているので (^^;)、こうした<余興>には真面目に怒らないことにしているわけである。 その分プロレスと同じでこの手の<余興>も楽しんでしまうのが、ぼくという人間なのである。

 でもそんなところから過去の『鷲……』への畏敬の念はさらに育ってゆくわけで、 軽薄な楽しみの中にも愛情を注ぐ何かの対象はきちんとあるわけだから、あながちすべてが無意味だとも言われたくはないのである (^^;)

 さて同じ<余興>であるなら花火はどーんと高く打ち上がったほうがいい。 奇麗な花火であるほうがいい。そういう単純な意味ではこの小説は失敗ではないのである。 プロレス嫌いがプロレスを見て目くじらを立てるように、鷲ファンはこの小説を「これが『鷲……』の続編か」と怒ることはできるけれど、はなからそんな期待を置き捨ててきているぼくは、プロレスファンが会場に脚しげく通うが如く、ヒギンズの小説を読読み続けるし、拍手をおくることだって、それはたまにはあるわけである。

 今度の作品の目玉サービスは、 まさにヒギンズ作品のオールスター戦と言っていいようなキャストの多彩ぶり。 物語は予備知識さえなければ単純に面白く、 それだけを取ったら今さら別にシュタイナーでもデブリンでもないのだが……。 というのは、ヒギンズ作品というのは名前を変えただけであまり見分けがつかないタイプの似通ったタイプのキャラクターが多いので (^^;)……もっとも同じ名前で出ている別人、しかし性格はけっこう同じ人というのも実は多いのである (^^;)……なにも『鷲……』の続編にする必要はないような作品だと思う。

 だからこそ<余興>であり、 何を隠そう50作記念作品(書きゃあいいってものじゃないっての (^^;))であり、ぼくはやっぱりバトルロイヤル感覚でこれを読んじゃう、 楽しんじゃう、ビールを飲んじゃう、涼んじゃう、のだね。

(1992.08.22)