ナース






題名:ナース
作者:山田正紀
発行:ハルキ・ホラー文庫 2000.8.28 初版
価格:\571



 昔好きで読んでいた若き作家に、久々に再会しようとぺージを開いてみると、見るも無残に歳を取り、醜く零落れていた。そんな気分になってげんなりしてしまったのが、この本。

 日航ジャンボ機の事件は既に過去のものになってしまってはいるのかもしれないけれど、犠牲者たちへの感性があまりにも欠如しているように取れるほどにデリカシーのなさを感じて不快だった。

 ホラー馬鹿に徹する作者の本書に対する姿勢を見てしまうと、昔感動した『火神(アグニ)を盗め』や『神狩り』さえもが遡って煤けて見えてしまう印象。ハルキという名の出版売名馬鹿が、古巣の角川に対抗して無理矢理ホラー文庫を出すというかけ声に乗った、恥も外聞もない零落れ作家の赤っ恥……と凄い言い方をしてしまったが、ここまでこき下ろさないと気分が元に戻れないようなアホな一冊なのであった。本当です。

 この文庫シリーズ、他も推して知るべしなのだろうか? 何とも恐ろしい!

(2001.03.24)
最終更新:2008年03月20日 18:30