孤独の歌声


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題名:孤独の歌声
作者:天童荒太
発行:新潮社 1994.1.15 初版 1994.3.25 2刷
価格:\1,500



 『永遠の仔』でひさびさに作品が話題になっているこの作家の、天童荒太というミステリー作家としてのデビュー作が本書であり、第26回日本推理サスペンス大賞優秀作を受賞している。

 その後の『家族狩り』に続くサイコ・サスペンスであり、幼児体験をテーマとしてもいるのだけれど、より健康的な(あくまで、この作者にとってだけれども)捜査小説として楽しめるミステリーとなっている。

 この作家は日本では珍しいほどのページターナーであり、まずどの作品をとっても面白く一気に引き込まれる。どの作品と言ってもたったの3作だけれども。とりわけ天童荒太入門篇としては本書がいいのだと思う。

 日本ではあまりお目にかかることのない本格的なサイコ小説であるし、敵側のサイコパスは残虐非道極まりない。女性連続殺人と、連続コンビニ強盗殺人が二人の男女の主人公の前に交錯して、捜査小説としてだけでも十分に手応えが感じられる。今読んでも基準を軽くクリアしている佳品であって、それなりに驚かされた。

 『永遠の仔』は栗田教行名義の『白の家族』をベースにしたビルディングス・ロマンのように思えるが、この作品時点では、作者はあくまでミステリーをベースにエンターテインメント作家としての承認を世に問うているように思われる。

 最後の活劇シーンなどは、恐怖小説『黒い家』などに比べて、ぼくは遥かにどきどきするのだが、如何なものだろうか? とにかくこの作品の完成度を味わってください。天童荒太の世界に少しでも多くの人に触れていただきたいとぼくは思っているので。

(1999.04.12)