ハガーマガーを守れ




題名:ハガーマガーを守れ
原題:Hugger Mugger (2000)
著者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker
訳者:菊池 光
発行:早川書房 2000.12.15 初版
価格:\1,900

 命令系のタイトルと言うと、何故かクライブ・カッスラーを思い出してしまう。ひと頃の冒険小説は何故かこういう命令形のタイトル形式が多かった。だからこの本のタイトルもとっても大時代で古めかしい印象だ、とぼくには思えるのだけど……。それからハガーマガーとは競走馬の名前である。読まなくてはわからないようになっているのだけれど。

 最近のパーカーは、確実に他のシリーズの方が気合が入っているような気がする。ここのところ好調だと思っていたスペンサーのシリーズも、何故か少しだけ中弛み状態に思えたこの一冊。

 すべてが大甘。アメリカ人は誰もがコークを大量に飲んだり、コーヒーに砂糖を四個も放り込むのだろうか、という味の方の趣向も心配になるくらい甘いが、スーザンと少し離れただけでいろいろな点が駄目になってゆくスペンサーについてはさらに大甘。さらには最後の決着のつけ方についても、悪党についてもすべて、大甘。こんな環境下でハードボイルドを描いているってことが信じられないくらいに大甘なのだ。

 ちなみにディック・フランシスとダブる印象のある菊池光さんの翻訳のせいで、競馬場にスペンサーとともに旅する読者側の気持ちは、なかなかに不思議なものがありました。日本人だけの密かな楽しみであることは間違いないところだけれども。