錨のない船



 日米開戦前夜からの外交官一家の物語。ハーフの息子が見た目に白人そのものである故に、日本人以上に積極的に武勇を求める姿が哀しい。外交官の必死の努力にも関わらず、太平洋戦争が日本という船の錨を断裁してゆく様を、活写している。これはもう純冒険小説といいたい。

(1992.07.19)
最終更新:2007年12月16日 00:07