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ペイパー・ドール


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原題:Paper Doll (1993)
著者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker
訳者:菊池 光
発行:早川書房 1994.1.15 初版
価格:\1,650

 なんと言ってもこの結末はぼくは気に入らない。ハードボイルドということの定義の一つとして「決着のつけ方」というものがあるとぼくは思う。その上で苦い結末を味わわねばならないことだってあると思う。むしろその苦みこそがハードボイルドの旨味であったりするとも思う。だからこそ、そうした苦みから逃げてしまう曖昧な決着というのは、この場合どうしたものだろうか。

 かつて『ダーティ・ハリー4』でソンドラ・ロック演じる復讐者の娘に対しての刑事ハリー・キャラハンの態度を、おすぎとピーコがラジオで猛烈になじっていたのを、ぼくは思い出した。「あんなのダーティ・ハリーじゃないわよねえ!」。ハードボイルドのエッセンスって案外シンプルなところにあって、それを少しずらすと主人公ともども作品がまったく違う代物に変わってしまう。

 けじめのつかない理由をスペンサーは犬のせいということにしている。『スターダスト』で犬と寂しい生活を送るウィルフレッド・ポメロイのことを思い出さないわけではない。しかしあの場合のポメロイにとっての犬と、この作品での温室の中の犬とを同列見ることはぼくはできなかった。こんなところで気が合っているスペンサーとスーザンの能天気さを理解するわけにはゆかなかった。

 愛犬パールが一役買っているのだとしたら、やはりろくでもない甘えた環境をこのシリーズに投げかけたパーカーの設定が、甘やかされたストーリーを作り出してしまったのだと思えてならない。

 「シリーズ中もっともプロットに凝った……」と帯にはある。けれども、ぼくの基準では久々に基準割れした駄作です。3ヶ月経ったらこの手の作品の内容はきれいさっぱり忘れると思う。