千里眼 運命の暗示


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題名 千里眼/運命の暗示』
著者 松岡圭祐
発行 小学館 2001.1.1 初版
価格 \1,600

 千里眼シリーズは三部作とのことだったから、これは完結編になるのだと思う。前作では、あまりに風呂敷を広げ過ぎてこんなに拡散した物語をどうやってあと一冊で収束させる気なのかと要らぬ心配までしてしまった。まるで『スターウオーズ』シリーズの二作目を見終った時のような気持ちだった。

 この三作目に取り掛かって驚いたのは、何と前半部だけでさらに絶望は深まってゆくということ。残りページ数はわずかに残すだけとなり、どうやってこれに落とし前をつけるのかとさらに不安は増すばかり。

 そんな不安を杞憂に変えるには、さすがに多くの力業を要したけれども、もともと『催眠』に始まる松岡ワールドは法螺話のオンパレードであるから、その伝でゆけば、この収束の仕方もそれほど変なものではないのかもしれない。松岡作品は言わば、心理戦という危うい仕掛けの上にいつも成り立っている。作品の軽佻さの理由はそのあたりにあり、面白さの理由も実は同じ場所にある。

 そうした強引な力業によって、この本、実は『後催眠』までを含めての『催眠』『千里眼』シリーズの謎のほとんどに決着を着けてしまう。言わば、嵯峨哲也&岬美由紀ワールドそのものの完結編と呼べるような一冊であるのだ。さらに『水の通う回路』事件として作中で歴史扱いされているもの、「祭祀による集団催眠」というあたりは『煙』に関する叙述とも取れる。つまり松岡世界を一旦ここで総括してしまうというような種明かし本と言うこともできるのだ。

 とにかくなんでもかんでも作者の催眠的世界に引きずり込んでしまう強引さを是と取るか非と取るかは別として、よくぞまあ物語のここまでの広がりをさしてページも使わずあっという間に収斂させたものだと、正直飽きれると同時に感心もしてしまった。

 ぼくはこの種の催眠にはかからないけれども。

(2001.01.05)