ギャングスタードライブ





題名:ギャングスタードライブ
作者:戸梶圭太
発行:幻冬舎 2000.5.10 初版
価格:\1500



 戸梶圭太が『レイミ』を書いたことで一瞬ホラー路線への転向を図ったのかと危ぶまれたのが、つい最近、4月のこと。ホラー路線への転向が悪いというのではなく、初のホラー『レイミ』が脱線に過ぎたのだ。ホラーやSFといった現実からの脱線が容易なジャンルでは、ただでさえ破天荒で脱線の得意なこの作家の面白み逆に生きてこないという気がしていたからだ。

 だからこそ再び犯罪ものに戻ってくれたこと、正直かなりほっとしている。ましてや『溺れる魚』に続いてまたも誘拐テーマ。いいじゃないですか。

 簡単にこの本を表現すると、ドライブ感溢れる理屈抜きのB級アクション、とでも言ったところか。ぼくはこういうのは割りと好きなほうなのである。

 日本人離れした娯楽感覚がいい。帯に「和製タランティーノ」などとあるけれども、ヒロインの名前/疾走感ある設定/キャラクター一人一人の個性的な設定/彼らの笑いの実に下品なこと、等々、タランティーノと言うよりは『鮫肌男と桃尻女』に影響されているところが非常に大きいんじゃないかと思う。

 山道を車で逃げる設定。追うやくざたちは銃器や車への偏執狂ぶり。これら何となく『鮫肌……』を想起させるのである。普通の人間は出て来ないのかあ、と思いきや、ちゃんと出てくるところがいい。途中で巻き込まれる普通のおっさん、作中ではけっこういい味出しています。

 また、大藪狂い(=銃器狂い)の若いやくざがいい。車にこだわり走行時間にこだわるもう一人のやくざもいい。そう言えばこの小説自体が、銃と車にこだわりを見せている。と言えば、やはりこれは大藪へのオマージュだったのか? 参考文献が大藪作品、三冊、っていうのもなかなか凄いことであると思う。

 オフビートって言葉の好きな人にお勧めしたい。戸梶版ジェットコースター・ノワールを是非ともご賞味あれ。

(2000.06.25)